むねた裕之
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市職員の長時間労働と会計年度任用職員の実態

9月18日、決算審査特別委員会(総務分科会)での「市職員の働き方について」むねた議員の質疑を紹介します。

●宗田

・2款1項1目、市職員の「働き方・仕事の進め方改革」について、伺います。

職員の長時間労働について

  • 時間外勤務職員数について、全任命権者における直近3年間の年480時間超、年1000時間超の職員数を伺います。

◎答弁

交通局の自動車運転手や病院局の医師等を除き、年間480時間を超えたものは、令和4年度は619人、令和5年度は553人、令和6年度は596人となっており、また、年間1000時間を超えたものは、令和4年度は23人、令和5年度は8人、令和6年度は17人となっております。

(バス運転手、病院局の医師を除く)

年度年480時間超年1000時間超
2022年度619人23人
2023年度553人8人
2024年度596人17人

●宗田

・時間外勤務職員について、480時間超は、バス運転手、病院局の医師を除いても直近3年間では約600人、1000時間超は20人前後もいます。コロナが収束しても、減っていないということは、長時間労働が常態化しているということです。

・時間外勤務時間の上限について、36協定では、「公務の運営上やむを得ない場合」でも上限時間は年360時間、「予見できない臨時または緊急の業務が集中した」場合でも年480時間まで。本来、年480時間超の職員はゼロであるべきなのに600人。異常な事態です。

  • 長時間労働をなくすための時間外勤務時間についての市の目標を伺います。

◎答弁

本市では、行財政改革第3期プログラムにおきまして、交通局の自動車運転手や病院局の医師等を除き、年間480時間を超える時間外勤務職員をゼロにする目標を設定しているところでございます。

●宗田

・年480時間超の職員はゼロを目標にしていますが、現実は600人。目標にははるかに遠い。

・過労死のラインは月80時間ですから、年480時間というのは、半年間、過労死するような状況で働いていたということです。

  • 480時間超の目標と現状について、大変な問題だという認識はあるのか、局長に伺います。

◎答弁

長時間勤務の是正につきましては、職員の健康確保の観点からも重要な課題であると捉えており、毎年度、職員の適正配置に努めるとともに、デジタル技術の活用による業務効率化や、応援体制の構築、管理職のマネジメントによる業務量の平準化などに取り組んでいるところでございます。

一方で、年間480時間を超える時間外勤務の実態がございますことから、その縮減に向けて、これまでの取組をさらに徹底していく必要があると認識しております。

●宗田

・毎回、「適正配置」「業務の効率化・平準化」に取り組んでいるといいますが、改善されていないのです。毎回、「重要な課題」といいますが、これは命にかかわる問題なのです。

長期療養者数について

  • 長期療養者数、メンタルによる長期療養者数について、直近5年間の人数を伺います。

◎答弁

令和2年度は315人、令和3年度は407人、令和4年度は405人、令和5年度は366人、令和6年度は395人となっており、このうち、メンタルヘルス不調によるものは、令和2年度は217人、令和3年度は260人、令和4年度は261人、令和5年度は256人、令和6年度は267人となっております。

(教職員を含む)

年度長期療養者数(人)精神・行動の障害(人)
2019年度272180
2020年度315217
2021年度407260
2022年度405261
2023年度366256
2024年度395267

●宗田

・長期療養者数は、6,7年前は200人台だったのに現在は、コロナが終わっても400人前後、そのうちメンタルヘルス不調の方は260人以上もいるのです。この6年間で長期療養者は1.5倍、メンタルも1.5倍に激増、深刻な状況です。

  • 長期療養者数の激増は何が原因と考えているのか、長時間労働は大きな要因ではないのか、伺います?

◎答弁

本市におきましては、20代、30代の長期療養者が近年増加傾向にあり、仕事の質や量、人間関係、人事異動などの職場環境の変化による職場不適応や、育児、介護などの生活環境の変化によるストレスに起因するメンタルヘルス不調がその主な要因と捉えているところでございます。

●宗田

・長期療養者の激増は「長時間労働が原因では?」という質問に対して、「職場不適応」「生活環境の変化によるストレス」という答弁で、何か本人に原因があったかのような答弁です。これ自体、長時間労働に対する反省がないことの現れです。

(要望)

・長時間労働、長期療養者の最大の原因は、職員が不足していることです。川崎市は、この20年間で人口が25万人も増えたのに職員を1500人も減らしてきました。そのため、コロナ過やこの前の豪雨の時にも行政に電話してもつながらず、また、現場を見に来る職員もほとんどいなかったのです。何よりも不足している部署への職員の増員を要望します。

非正規公務員、会計年度任用職員について

  • 市職員の男女の比率について、正規職員と会計年度職員の男女比を伺います。

◎答弁

令和6年4月1日現在、常勤職員は男性56.1%、女性43.9%、また、会計年度任用職員は男性23.3%、女性76.7%となっております。

●宗田

・正規職員の女性の割合は4割で、会計年度職員では8割が女性です。

  • 会計年度職員の年収について、300万円以下の方は何割か、伺います。

◎答弁

会計年度任用職員につきましては、その多くが定型的な業務に短時間で従事していることから、約6割の職員が年収300万円以下となっております。

●宗田

職種準用表級号等時間単価
保育士 保育園保育士1級22号 1級30号1506円 1615円
放射線技師 臨床検査技師1級22号1506円
栄養士1級18号1453円
助産師1級36号1690円
看護師1級32号1641円
学校司書1級10号1363円
教員事務支援員1級10号1363円

・会計年度職員の6割が300万円以下の年収しかありません。

(要望)

・会計年度任用職員の多くは女性で、年収も300万以下で働いています。資格や専門性が求められる職種である、放射線技師、臨床検査技師、保育士、栄養士などは、時給1300円‐1500円です。助産師、看護師なども時給1600円前後ですが、求人サイトでの看護師の平均時給は2500円前後です。時給1600円というのは、あまりにも不当な時給です。会計年度任用職員の時給を早急に上げるよう要望します。

任用制度「5年目の公募」について

・川崎市の場合、再度の任用について、4回まで更新されますが、5回目は一般公募となります。民間の有期雇用の労働者の場合、5年後の更新の際に、無期雇用転換の申込権が発生しますが、会計年度任用職員には、その権利もありません。

・人事院は、昨年、通知文書「期間業務職員の適切な採用について」を一部改正し、公募によらない再度の採用回数の上限を連続2回までとする取り扱い「3年目公募」を撤廃しました。川崎市では「5年目の公募」ということですが、これも含めて人事院は撤廃するという方針です。

  • 人事院の3年目公募の撤廃について、これに沿って市でも公募について変えていくのか、伺います。

◎答弁

同一の者が長期にわたって、同一の職務内容とみなされる職に繰り返し任用される場合には、職場における人材育成への影響や、その身分及び処遇の固定化などの課題があるとともに、できる限り広く公募することが望ましいとされていること等を踏まえ、本市におきましては、再度の任用回数を4回までとしているところであり、今後も、制度の適切な運用に努めてまいります。

●宗田

・市は、再任用回数は4回までとし「5年目公募」は変えないという答弁でした。しかし、全国では上限回数なしで再任用する自治体が6割へ増加し、県内でも、相模原市、小田原市、厚木市、大和市、海老名市など5自治体で撤廃しています。

(要望)

・会計年度任用職員にとって、理不尽な雇止めである「5年目の公募」は恐怖です。総務省も「公募が必須ではない」とし、人事院も上限回数を撤廃しました。川崎市も再任用の上限回数の撤廃を要望します。