むねた裕之
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卸売市場の公的役割について

9月18日、決算審査特別委員会(総務分科会)での「卸売市場の公的役割について」むねた議員の質疑を紹介します。

●宗田

・卸売市場事業特別会計について伺います。

卸売市場の公的役割について

  • 卸売市場について、どのような公的役割・機能を持っているのか、なぜ、大切なのか、伺います。

◎答弁

卸売市場は、生鮮食料品等を全国から大量に集め、適正な価格で迅速に分配する役割を担い、集荷・分荷機能、価格形成機能、代金決済機能及び情報受発信機能を有しておりまして、市民に生鮮食料品等を安定的に供給するため重要なものと認識しております。

●宗田

・卸売市場は、「価格形成」機能、「需給調整」機能、さらに「品質評価」機能を担っており、これまで生鮮食料品の生産と流通、消費における価格形成、品質保証などにおいて、重要な役割を果たしてきました。

・特にセリの原則は、豊富な情報量を持つ卸業者、仲卸業者の役割がきちんと発揮され、生鮮品の取引価格、相対取引など直接販売の指標となっています。

  • 2018年の卸売市場法の改定によって、どのような原則が緩和されたのか、伺います。

◎答弁

平成30年の同法の改正により、仲卸業者及び売買参加者以外に卸売を行う第三者販売の原則禁止、卸売業者以外の者から買い入れを行う直荷引きの原則禁止、卸売市場内で卸売を行う商物一致の原則の規制が自由化されたところでございます。

●宗田

・法改定では、中央卸売市場での「取引原則」とされた仲卸業者と開設者が許可した売買参加者以外には販売できないという「第三者販売の禁止」原則、仲卸業者は卸売業者以外からは買えないという「直荷引きの禁止」原則、卸売市場における卸売の業務については市場内で取引するという「商物一致の原則」が、法規定から削除され、国による規制は行わず、各市場の判断に委ねられました。

  • 市は、「第三者販売の禁止」「直荷引きの禁止」の原則は維持するのか、伺います。

◎答弁

卸売市場法の改正により第三者販売の原則禁止及び直荷引きの原則禁止の規制が自由化されたことを受けまして、市場内の事業者が取引しやすい環境を整備するため、令和2年3月に川崎市中央卸売市場業務条例及び地方卸売市場業務条例を改正し、これらの規制につきましては原則自由化といたしました。

●宗田

・「原則自由化」という答弁でした。しかし、法改定で多くの問題が指摘されています。「第三者販売の禁止」「直荷引きの禁止」が削除されたことにより、市場で「公正な価格形成ができなくなる」との懸念がでています。またこうした買い手の強化は、生産者価格の低下にも影響します。

・特に、卸の第三者販売を認めることは、大手スーパーなどとの直接取引が可能となり、買い手の力が強くなることで、「公正な価格形成ができなくなる」との懸念は、卸、仲卸をはじめ出荷組織からも多く上がっている。日本農業新聞は「第三者販売が認められれば、大手が良いものを買い占め、入手できるのは残り物。小さな業者は欲しいものが買えなくなり、商売ができなくなる」と紹介。さらに第三者販売は、事実上の産地と大手スーパーの直接取引になることから、大手スーパーの力で「大根1本1円」とか「キャベツ1個1円」などと特売日に合わせた買いたたきへの不利益も懸念される。

(要望)

・前回の答弁では「現状は、頻繁に第三者販売や直荷引きが行われております。このような現状を踏まえますと、市場内事業者の経営に過度な影響を及ぼすことがないよう配慮」すると答弁しています。

・「第三者販売の禁止」「直荷引きの禁止」の原則は、必要なところは維持すべきことを求めておきます。

「商物一致の原則」の自由化について

・今回の法改定で「商物一致の原則」が削除されたことにより、商取引は市場が行いますが、物品は大型産地、輸入商社、冷凍業者が市場を通さず、大手スーパー・加工業者・外食産業などへの直接出荷も増大します。これらが実施されれば、仲卸業者の購入量が減り、また、仲卸業者を頼りにしている小売店にとっても大変な影響を受けます。

  • 市は、「商物一致の原則」は維持するのか、伺います。

◎答弁

法改正により商物一致の原則が廃止されたことを受けまして、市場内の事業者が取引しやすい環境を整備するため、令和2年3月に川崎市中央卸売市場業務条例及び地方卸売市場業務条例を改正し、当該規制につきましても原則自由化といたしました。

●宗田

・「原則自由化」という答弁でした。しかし、自由化されれば、これまで卸売市場を支えてきた中小の仲卸業者にとって、卸売市場での生鮮食料品の購入が困難となります。仲卸業者の「目利き力」に依存していた専門小売商、料理店、すし店などの買出人の仕入れを困難にし、その営業にも大きな影響を与えることになります。

(要望)

・「商物一致の原則」は、必要なところは維持すべきことを求めておきます。

  • 南部市場、北部市場の開設者(運営主体)について伺います。また、なぜ北部市場は直営体制を維持するのか、その重要性について、伺います。

◎答弁

開設者につきましては、南北両市場ともに本市が開設者であり、運営主体につきましては、南部市場は指定管理者制度を導入していることから、運営は指定管理者が担つております。

北部市場の運営体制につきましては、卸売市場に関する制度転換とともに機能更新の過渡期であることから、このような中でも、公正な業務運営のもと、生鮮食料品等を安定的に供給する社会インフラとしての機能を継続して果たすことが重要であると考えておりますことから、引き続き、市が開設者として必要な業務を実施するものとしております。

・南北市場ともに開設者は本市であり、南部市場は指定管理者、北部市場は直営で運営するとの答弁でした。

(要望)

・卸売市場において、行政は「価格形成」、「需給調整」、「品質評価」などの機能を果たすという重要な役割があるわけです。こういうことを市民に知らせて、再編整備においても行政の公的役割を後退させないように要望します。