むねた裕之
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予算:財政力、市税収入もトップなのに福祉予算は平均以下

25年2月28日、川崎市議会3月議会で、日本共産党川崎市議団を代表して宗田団長が代表質問を行い、「予算の特徴について」質疑しましたので、紹介します。

●質問

新年度予算の特長についてです

新年度一般会計予算の規模は、前年度比215億円増の8927億円で過去最大。市税収入も前年度比194億円増の4048億円で4年連続、過去最大です。これは個人市民税が163億円増、固定資産税23億円増などによるものです。

財政力指数は、政令市トップで、新年度は普通交付税・不交付団体となる見込みです。財政健全化指標は、すべて基準値を下回っており、極めて優良。一人当たりの市債残高は、政令市の平均よりも13万円低く、借金の負担額が少ないのが特徴です。川崎市の生産年齢人口割合は政令市で最も高く、人口推計でも今後5年間は人口が増加し続けるため市税収入の増加は今後5年間続くと予想されます。このように、市税収入、財政力指数、財政健全化指標のどれをとっても、川崎市は政令市でトップクラスの財政力を持っています。

収支フレームについてです

新年度予算の収支は―92億円と計上されています。しかし、23年度予算では120億円の収支不足が出るとしていましたが、決算では44億円のプラスとなりました。収支不足をなんと160億円以上も過大に試算していました。この最大の原因は、22年に決めた収支フレーム、要するにコロナ禍に作った収支フレームをベースにしているからです。わが党は「直近の決算をベースにすべき」と主張してきましたが、直近23年度の決算をベースにすれば新年度収支はマイナスにはなりません。物価変動が続く中、しかもコロナ禍に作った収支フレームをなぜベースにするのか、市長に伺います。

決算では、コロナ禍、一昨年度、昨年度とずっとプラスになっているのに、収支フレームをベースにしているため予算では毎回赤字を計上しています。これを繰り返すのは、市民に「財政が厳しい」ということを印象付けるためなのか、市長に伺います。

減債基金についてです。

減債基金残高は、一般会計分でみると積立額483億円、取崩額282億円で3151億円となり、一人当たりの残高は政令市平均の1.6倍にもなります。減債基金残高は、多くの政令市が取崩額の4年分ですが、本市は約8年分にもなり、他都市と比べて極めて多い残高となっています。25年度の減債基金からの借入総額は766億円の見込みですが、減債基金の残高から差し引いた実質残高は2385億円です。この金額は、取崩額4年分という他政令市と比較すると約700億円多く、他都市と比べて川崎市の減債基金残高は極めて多いという現状です。他都市よりも多い700億円は暮らしのために使うべきではないですか、市長に伺います。

社会保障費についてです。

この間、市長は社会保障費の増大を「財政が厳しい」理由の一つとして挙げてきました。社会保障費である扶助費は、前年度比188億円増ですが、これは児童手当や保育所運営費、障害福祉サービスの増によるもので、どうしても必要な費用であり、増加した部分のほとんどは国や県からの補助から賄われます。扶助費の一般財源の比率である経常収支比率は。この間、19%程度にすぎず、ほとんど変化はありません。要するに扶助費の市負担比率は増えていないのです。

しかも、一人当たりの扶助費の額は引き続き政令市の加重平均を下回っており、福祉予算である民生費も1人当たりにすると政令市平均よりも約2万円低い状況です。一方、一人当たりの個人市民税は、政令市平均より約3万円高く、政令市トップです。個人市民税は政令市で最も高いのに、その税収が福祉・暮らしには十分還元されていないのではないか、市長に伺います。

◎答弁

収支フレームにつきましては、持続可能な行財政基盤の構築に向けた指針であり、総合計画や行財政改革プログラムの鵬且を反映して策定しているものでございまして、毎年度の予算編成にあたりましては、収支フレームを基本として、様々な社会経済状況の変化等にも的確に対応しているところでございます。

本市の財政は、とれまでの減債基金からの借入額の累計が500意円を超えていることに加え、令和7年度予算に為いて、さらに新規借入れを計上せざるを得ない状況にございまして、とのこと自体が、厳しい状況を示しているものと考えております。

減債基金につきましては、基金への積立てが市債の償還そのものであり、残高の多寡にかかわらず、国のルールどおりに計画的に行っているところでございます。仮にルールどおり積立てを行わない場合には、将来的に償還財源を確保することが困難となり、必要な施策を進めていくための財源、が不足し、結果として将来の市民の方々に過度な負担を強いる懸念

が生じるものと考えております。

社会保障費につきましては、安心して子どもを産み育てられる環境づくりや、高齢者・障害者施策などにもしつかりと取り組んでおり、令和7年度予算の扶助費は約2,571億円で前年度と比べ7.9%増加しているととろでございます。また、本市が必要な社会保障にしっかりと取り組んでいるととは、毎年度の決算におきまして、扶助費に係る市民1人当たりの一般財源が指定都市平均を上回っていることに現れているものと考えております。