むねた裕之
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減債基金ー他政令市の1.6倍、1000億円多い

9月25日、決算審査特別委員会でのむねた議員の質疑を紹介します。

●宗田

減債基金について

  • 川崎市の人口一人当たりの減債基金残高と政令市の平均残高を伺います。

●答弁

本市の人口一人当たりの減債基金残高につきましては、他都市との比較が可能な令和4年度は17万4千円でございます。また、指定都市の平均残高につきましては、公表されているデータに基づいて算定いたしますと12万2千円となるところでございます。

●宗田

・一人当たりの減債基金残高は、他の政令市平均の1.6倍、加重平均では1.4倍で、残高は他都市と比べて非常に多いのが特徴です。

・減債基金は、満期一括返済のために毎年、積立と同時に取崩(返済)しているので、返済額の何年分を残高として持っているのかが一つの目安になります。

・川崎市は、この間、毎年、約450億円積み立てて、約300億円を取崩(返済)しています。

  • 川崎市の減債基金残高はその年の取り崩し額(返済額)の何年分にあたるのか?また、横浜市、相模原市についても何年分にあたるのか、伺います。

●答弁

減債基金からの取崩額は、各年度の市債の償還の状況によって増減するものでございますが、それを前提に仮に算定いたしますと、他都市比較が可能な令和4年度決算の数値では、本市の減債基金の残高は2,658億円で、取崩額は244億円でございますので、10.9年分となるものでございます。

また、他都市につきましては公表されているデータに基づき、本市と同様の計算をいたしますと、横浜市は3.7年分、相模原市は4年分となるものでございます。

●宗田

・減債基金の残高は、川崎市の場合、返済額の10.9年分で、名古屋市の11.5年分に次いで多い額です。

・他の政令市では、広島市を除くと2.3年分から11.5年分までと様々です。とても総務省の「満期一括返済額の30分の1」ルールに則っているとは思えません。

・県内の政令市、横浜市、相模原市も約4年分ですので、返済額に比べて異常に多い残高となっています。ただ、川崎市の場合、残高から517億円借り入れていますので、実質残高は517億円少ないわけです。

  • 川崎市の減債基金残高(一般会計のR5年度)と、そこから借入額517億円を差し引いた実質残高、積立額、取崩額と、実質残高は取崩額の何年分か?

●答弁

令和5年度における減債基金残高のうち一般会計分の残高は2,766億円で、減債基金からの借入分を差し引くと2,249億円でございます。

また、令和5年度の積立額は445億円、取り崩し額は211億円で、減債基金からの借入分を差し引いた額を取崩額で割ると10.7年分となるものでございます。

●宗田

・借入額517億円を差し引いた現在の実質残高は、2249億円です。この実質残高でも返済額の10.7年分にもなり、県内政令市の4年分と比較して、異常に多いわけです。

  • 横浜市の基金残高は取崩額の何年分かについて、過去10年間の年数を伺います。

●答弁

他都市の財政状況の詳細は把握できないものでございますが、一般社団法人地方行財政調査会で公表されている資料に基づいて仮に算定すると、平成25年度から令和4年度の順に、それぞれ、1.2年、 1.1年、 1.1年、 0.9年、 1.3年、2.3年、 2.2年、 1.7年、 4.1年、 3.7年でございます。

●宗田

・横浜市は、つい最近までは返済額の1~2年分しか残高を持っていない状態でした。1~2年分あれば、返済に支障はないという判断です。

・数年前の調査でも他の政令市の平均は4年分という結果であり、4年分あれば、収支不足が出て積立できなくても返済の支障をきたすことはないと考えている自治体が多いと思われます。

・川崎市も実質残高は4年分で十分ではないでしょうか。今後4年間は、返済額が毎年300億円程度ですが、収支不足が4年連続300億円も続き、残高が尽きてしまうということあり得ません。ですから現在の実質残高は1200億円くらいで足りるということです。現在の実質残高2249億円というのは他の政令市の平均を比べて1000億円くらい多い、ということです。

(将来的にはどうなのか)

・残高が多すぎるのでは?という質問に対して「将来、返済に支障をきたす」という答弁でした。

  • 10年後の2033年以降の4年間の取り崩し額を伺います。

●答弁

令和4年2月に公表した「今後の財政運営の基本的な吉え方」におきましては、令和15年度から1頓に、 551億円、 5 11億円、 374億円、 550億円で、 4年間の合計では1,986億円と見込んでいるところでございます。

●宗田

・10年後の返済金額は、ほぼ平準化していて毎年500億円ほどです。ですから実質残高は2000億円ほどあればよく、10年後の減債基金残高(一般会計)3000億円というのはどう見ても多すぎます。

・答弁でも「満期一括償還に備えて計画的に行っている」と述べているように、満期一括返済の市債を計画的に調整して、返済額を約500億円程度にすれば、基金残高は2000億円に抑えられるのです。

会計処理の方法について

  • 収支不足の対応について、川崎市はいったん減債基金に積み立てをしてそこらか借り入れていますが、他の都市は収支不足が出た場合、基金との関係でどのように対応しているのか、伺います。

●答弁

他都市の対応の詳細は把握しておりませんが、本市が行っている減債基金からの借入れのほか、減債基金の目的外の取り崩しや、減債基金への積立て留保、などの対応があるものと伺っております。

●宗田

・数年前に議会局に頼んで各政令市に調査を行ったところ、川崎市のように収支不足が出てもいったん積立して、そこから借り入れるというやり方はどこもやっていませんでした。

・他の政令市は、収支不足が出た場合、一般的には基金への積立額を減らして対応しているのです。川崎市の減債基金からの借り入れというやり方は、一種の「禁じ手」です。

・しかも、市民にしてみれば減債基金残高は、2700億円あると発表されているのに、実際は2200億円しかないということで、市民にはわかりずらいと思います。

(要望)

・基金は、いくら多く積み立てても、有効利用はできません。総務省の「30分の1」ルールというのは、実態に見合っていません。基金残高を返済額の4年分の額に計画的に調整すれば、現在でも1000億円もの使える財源が生まれます。基金残高を返済額の4年分に調整して、市民のために使える財源にすることを要望します。

・会計処理について、収支不足が出た場合、現在の基金から借入れるやり方を改め、積立額を減らして対応すること。また、基金残高を借り入れ分を差し引いた実質残高に改めることを要望します。