むねた裕之
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市職員の時間外労働ー480時間超が700人を超え、長期療養者数は350人超

9月19日、決算審査特別委員会でのむねた議員の質疑を紹介します。

●宗田

・2款1項1目、市職員の「働き方・仕事の進め方改革」について、伺います。

職員の長時間労働について

  • 時間外勤務職員数について、全任命権者における直近3年間の年480時間超、年1000時間超の職員数を伺います。

●答弁

直近3年間におきまして、年間480時間を超えて時間外勤務を行った職員は、交通局の自動車運転手や病院局の医師等を含め、令和3年度は771人、令和4年度は752人、令和5年度は721人でございます。

また、1000時間を超えて時間外勤務を行った職員は、同じく、令和3年度は64人、令和4年度は47人、令和5年度は24人でございます。

年度年480時間超年1000時間超
2020年度66449
2021年度77164
2022年度75247
2023年度72124

●宗田

・時間外勤務職員について、480時間超は、4年前までは600人台だったのが、直近3年間では700人台に増加、1000時間超は27人もいます。コロナが収束しても、減っていないということは、長時間労働が常態化しているということです。

・時間外勤務時間の上限について、36協定では、「公務の運営上やむを得ない場合」でも上限時間は年360時間、「予見できない臨時または緊急の業務が集中した」場合でも年480時間まで。本来、年480時間超の職員はゼロであるべきなのに700人を超えている。異常な事態です。

  • このこと自体、大変な問題だという認識はあるのか、局長に伺います。

●答弁

長時間勤務の是正につきましては、毎年度、職員の適正配置に取り組むとともに、平成29年度からは、「働き方・仕事の進め方改革」として、デジタル技術の活用による効率的な業務執行や応援体制の構築、管理職のマネジメントによる業務量の平準化などに力を入れているところでございます。

一方で、いまだ480時間を超える時間外勤務を行っている職員が一定程度いることは、課題であると認識しておりますので、今後も、長時間勤務の是正に取り組んでまいります。

●宗田

・「年480時間超の職員はゼロであるべき」なのに700人を超えているのです。「一定程度いる」というレベルではないと思います。しかも是正について「職員の適正な配置」「デジタル化」「業務量の平準化」で取り組むということですが、「職員の増員」ということが一言もない。職員の増員なしに700人も超過している状況を是正できるわけがないと思います。

長期療養者数について

  • 長期療養者数、メンタルによる長期療養者数について、直近5年間の人数を伺います。

●答弁

教職員を除く長期療養者数は、令和元年度は272人、令和2年度は315人、令和3年度は407人、令和4年度は405人、令和5年度は366人でございます。このうち、メンタルヘルス不調によるものは、令和元年度は180人、令和2年度は217人、令和3年度は260人、令和4年度は261人、令和5年度は256人でございます。

年度長期療養者数(人)精神・行動の障害(人)
2018年度244147
2019年度272180
2020年度315217
2021年度407260
2022年度405261
2023年度366256

●宗田

・長期療養者数は、5,6年前は200人台だったのに現在は、コロナが終わっても400人前後、そのうちメンタルヘルス不調の方は250人以上もいるのです。この6年間で長期療養者は1.5倍、メンタルも1.7倍に激増、深刻な状況です。

  • 長期療養者数の激増は何が原因と考えているのか、長時間労働は大きな要因ではないのか、伺います?

●答弁

本市におきましては、20代・30代の長期療養者が近年増加傾向で、その原因は、職場不適応の他、育児や介護などの生活環境の変化等のストレスに起因するメンタルヘルス不調が多くを占めております。また、最も長期療養者数が多い50代では、悪性新生物等のメンタルヘルス不調以外の要因が約半数を占めております。

●宗田

・長期療養者の激増は「長時間労働が原因では?」という質問に対して、「職場不適応」「生活環境の変化」という答弁で、何か本人に原因があったかのような答弁です。これ自体、長時間労働に対する反省がないことの現れです。

(要望)

・480時間超の長時間勤務の方が多かった部局は、総務企画局、こども未来局、交通局、病院局、教育委員会事務局だということです。あらためて必要な部署、480時間超の勤務者が多い部局への「職員の増員」を要望します。

●宗田

非正規公務員、会計年度任用職員について

  • 市職員の人数(教職員を除いて)について、この13年前の正規職員、非正規職員と直近の正規職員、会計年度職員の人数について伺います。

●答弁

平成22年4月1日時点の旧県費負担教職員数を除く全会計の職員数は、常勤職員が1万3,678人、非常勤嘱託員が2,163人、臨時的任用職員が1,332人、令和5年4月1日時点の職員数は、常勤職員が1万3,257人、会計年度任用職員が4,674人となつているところでございます。

●宗田

・13年前と比べて正規職員が400人減り、非正規職員は1200人増えています。業務内容としては、特に窓口や事務作業における「定型的な業務」(Eランク)で正規から非正規に置き換わっており、今まで正規職員がやってきた仕事を非正規の方に移行しているということです。

  • 市職員の男女の比率について、正規職員と会計年度職員の男女比を伺います。

●答弁

令和5年4月1日時点の常勤職員の男女比率は、男性56.3%、女性43.フ%、会計年度任用職員は、男陛22.3%、女陛77.7%となっているところでございます。

●宗田

・正規職員の女性の割合は4割で、会計年度職員では8割が女性です。

・昨年の決特で、正規職員と会計年度職員の男女の平均賃金を伺いましたが、正規の男性745万円、女性667万円。会計年度の男性243万円、女性242万円との答弁がありました。

・このように、会計年度職員の賃金は、正規職員の3分の1です。非正規の職員の8割が女性で、しかも賃金が正規職員の3分の1。これこそ、「ジェンダー不平等」との声が出ています。

任用制度「5年目の公募」について

・川崎市の場合、再度の任用について、4回まで更新されますが、5回目は一般公募となります。民間の有期雇用の労働者の場合、5年後の更新の際に、無期雇用転換の申込権が発生しますが、会計年度任用職員には、その権利もありません。「明確な理由がないまま雇止めになった」、「失業する可能性がありながら3月を迎えるのが恐怖」など会計年度任用職員にとって、理不尽な雇止めや「5年目の公募」は恐怖となっています。

・国会では、再度の任用について総務省は「地域の実情に応じつつ勤務実勢を考慮して選考を行うことが可能」として、総務省マニュアルも改定させて「公募が必須ではない」ことに言及しています。

・人事院は、6月28日、通知文書「期間業務職員の適切な採用について」を一部改正し、公募によらない再度の採用回数の上限を連続2回までとする取り扱い(「3年目公募」)を撤廃しました。川崎市では「5年目の公募」ということですが、これも含めて人事院は撤廃するという方針です。

  • 人事院の3年目公募の撤廃について、これに沿って市でも公募について変えていくのか、伺います。

●答弁

同一の者が長期にわたって同一の職務内容の職とみなされる職に繰り返し任用されることは、職場における人材育成への影響や会計年度任用職員としての身分及び処遇の固定化などの問題が生じるおそれがあること、会計年度任用職員の選考においてはできる限り広く公募することが望ましいとされていること等から、本市においては、再度の任用が行える回数を4回までとしているところでございます。

今後につきましても、制度の適切な運用に努めてまいります

●宗田

・「長期にわたって同一の職務」について、問題があるという答弁ですが、公共の多くの職場では、継続性や、専門性が必要とされます。

  • 「5年目の公募」について、仕事の継続性、専門性において問題があるという認識はあるのか、伺います

●答弁

本市では、勤務実績等に基づく能力実証により、4回まで公募によらない再度の任用を行っているところであり、再度の任用を4回行った場合には、改めて公募による選考を行うこととしているところでございまして、その場合においても、現職の会計年度任用職員が応募し、合格した場合には改めて任用することも可能としているところでございます。

任用にあたっては、応募者の職に対する適性やこれまでの経歴等を踏まえて選考を行っているところでございますので、各所属の実情に合わせて適切に任用しているものと考えております。

●宗田

・図書館司書や保育士、保健師、助産師、医療従事者、学校の教職員、消費生活相談員などその地域とつながることが重要で継続性、専門性が求められる業務です。しかし、そういう方も、5年ごとに雇止めになる会計年度任用職員となっており、賃金が低い不安定雇用となっています。無期雇用転換の権利もなく、理不尽な雇止めや業務の継続性、専門性を維持できないような「公募」は、公務員の雇用形態として、制度上の問題があります。

(要望)

・「公募」について、総務省は、昨年12月に改定した「会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアル」の中で、「公募を行うことが法律上必須ではない」「地域の実情等に応じつつ、適切に対応されたい」という見解です。さらに人事院は「3年目公募」を撤回しました。

・また、図書館・学校司書や保育士、保健師、助産師などは、経験と信頼、継続性、専門性が必要であり、それらを保証するためには、雇用の継続・安定が必要です。「公募は必須ではない」のですから、こういう職種は「実情に即して」公募はやめるよう要望します。

●宗田

賃金・手当について

  • 会計年度職員の年収について、250万円以下の方は何割か、伺います。

●答弁

月額で支給されている会計年度任用職員は、その多くが定型的な業務に短時間勤務で従事していることから、約7割の職員が年収250万円以下となっているところでございます。

●宗田

・会計年度職員の7割が250万円以下の年収しかありません。

・会計年度任用職員の給料表では、資格や専門性が求められる職種である、放射線技師、臨床検査技師、保育士、栄養士などは、時間額で任用すると時給1300円前後、フルタイムで働いても月給約18万円で、正規職員の初任給基準の賃金しかもらえません。放射線技師、臨床検査技師、保育士、栄養士は「初任給基準」だからということですが、とても専門職としての賃金とは言えません。助産師、看護師なども時給1400~1500円ですが、求人サイトでの看護師の平均時給は2500円前後です。時給1400円というのは、あまりにも不当な時給です。

職種別の時間額(*改定後)

職種準用表級号等時間単価
保育士 保育園保育士1級19号 1級27号1320円 1427円
放射線技師 臨床検査技師1級19号1320円
栄養士1級15号1270円
助産師1級33号1504円
看護師1級29号1452円
学校司書1級7号1194円
教員事務支援員1級7号1194円

●答弁

会計年度任用職員制度は、地方公務員法及び地方自治法に規定された制度でございまして、その業務については、配属された部署内で、常勤職員が行うべき業務以外の指定された業務を担うものと整理しているところでございます。

募集、採用に当たりましては、年齢や性別に関わりなく原則公募で選考を行っており、男女比率につきましては、その結果と認識しているところでございます。

また、会計年度任用職員の報酬額につきましては、条例に基づき、類似する職務に従事する常勤の職員に適用される給料表を準用し、職務の内容や責任、職務遂行上必要となる知識、技術等を考慮して、職務内容に応じて定めたランク表により決定しておりますので、適正な給与水準となっているものと認識しているところでございます。

●宗田

・給与について「職務の内容や責任、必要とする知識や技術を考慮して」「適正な給与水準となっている」という答弁でした。しかし、放射線技師、臨床検査技師、保育士、栄養士がどうして「初任給基準」なのでしょうか。助産師、看護師などの時給がどうして民間より1000円も安いのでしょうか。

・総務省のマニュアルでは、初任給基準額を上限というのは「あくまで「定型的・補助的な業務等に従事する事務補助職員」についての例であり、すべての職種について、示しているのではない」と述べています。さらに「例えば、保育士や看護師等の専門職について、民間の給与水準も踏まえ、その上限を事務補助職員よりも高く設定することが考えられる」と述べており、保育士や看護師など専門職を初任給基準額とするのは、総務省のマニュアルから言っても間違いです。

(要望)

・総務省のマニュアル通り、専門職は、民間の給与水準も踏まえて賃金を上げるよう要望します。