空き家を利用した労働者の家賃支援と奨学金返還制度などの支援を
6月25日、6月議会でむねた議員は一般質問「人手不足と労働者支援について」行いましたので、質疑の内容を紹介します。
●質問
人手不足について
・4月1日から運送業、建設業、医療の3つの業種で、時間外労働の上限規制が始まり、長時間労働の是正が期待される一方で、労働時間の減少によって、3つの業種での様々な支障、特に深刻な人手不足、いわゆる「2024年問題」が、全国的な課題となっています。
- 本市の「令和5年度市内事業所経営実態把握調査」について、中小企業の主要な課題を経済労働局長に伺います
本調査は、市内事業所の事業活動における経営状況、事業展望、課題等を把握し、市内中小企業の活性化につながる効果的な支援施策に取り組むことを目的として、毎年、実施しており、今後事業を行う上での課題という設問に対する令和5年度における主要な回答といたしましては、「人手不足」が67.0%、「原材料など諸経費の増加」が36.2%、「設備の不足・老朽化」が30.フ%となっております。
- 本市の介護保険事業者を対象にした「令和4年度川崎市高齢者実態調査」について、居宅介護支援事業所の課題について、健康福祉局長に伺います。
◎答弁
令和4年度に実施した「川崎市高齢者実態調査」における「介護保険事業者調査」において、「事業を展開する上での問題点や課題」に関する質問に対し、「介護報酬に反映されない業務が多い」と回答があった割合が、67.3%と最も高く、続いて、「人材の確保が困難」が、57.4%となっております。
●質問
・中小企業にとっても「人手不足」は最大の課題、高齢者施設にとっても「人材の確保が困難」と答えた施設が6割に上り、市バスの運転所不足で今年はバス路線が減便になり、本市の教員不足も深刻です。
労働者の家賃補助について
・全国的に人手不足が深刻な問題となる中で、中小企業や自治体でも人材確保策として家賃補助を実施する自治体が増えてきています。
・神戸市では、保育士や幼稚園教員を対象に月10万円の家賃補助を実施。東京都の目黒区では、高齢者向けやファミリー世帯用の家賃補助制度を実施。また、都では介護職員を対象に宿舎借り上げ支援制度も実施しています。
- 本市での借り上げ社宅支援制度を、伺います。
◎答弁(こども未来局長)
本市におきましては、保育士の就業継続、離職防止を図り、働きやすい環境を整備する目的で、国の要綱に準じて本事業を実施しております。
本事業は、法人が宿舎を借り上げるための費用を支援し、法人が負担する家賃、管理費等に対し、 1人当たり月額8万2千円を上限とする補助対象経費の4分の3の補助を行うものでございまして、対象者は、施設長を除く、常勤保育士及び保育士にみなすことができる看護師、幼稚園教諭等とし、対象期間は、今年度においては、採用後6年以内としているところでございます。
●質問
・本市も保育士に対して借り上げ社宅制度があるということです。
・多くの労働者が安価な住宅を求めている中、住む方がいない空き家も増えており、各自治体では、空き家の利活用が課題となっています。
空き家対策について
- 総務省統計局による「住宅・土地統計調査」における本市の空き家の状況について、一戸建ての空家数と共同住宅・長屋等の空家数を、まちづくり局長に伺います。
◎答弁
総務省統計局における平成30年住宅・士地統計調査結果によりますと、本市の空家数は、一戸建ての空家が約6 800戸、共同住宅・長屋等の空家が約67,000 ,戸となっております。(本市の空き家戸数)
●質問
・本市の空き家戸数は73800戸、20年間で1.24倍となり、その中で「居住目的のない空家」である「その他の住宅」で有効活用可能な空き家が24000戸あります。
空家を活用した人材確保策について
・東京都の杉並区では住宅セーフティネットを活用した家賃低廉化補助を23年度から実施しています。
- 空き家を活用して労働者を支援する国の制度があるのか、伺います。住宅セーフティネット制度による家賃低廉化の補助を検討してはどうでしょうか、まちづくり局長に伺います。
◎答弁
高齢者などの住宅確保要配慮者への居住支援につきましては、民間の空き家、空き室を活用し、入居を拒まない賃貸住宅の供給促進を目的とした、住宅セーフティネット制度がございますが、人材確保策に向けた労働者への活用は限られており、制度として活用することは困難と考えております。(住宅セーフティネット)
●質問
・この制度としては、用配慮者に限定しているということです。
- 本市でも、不足している教員、介護職員、市バスの運転手など、また中小企業、建設業などの人材確保策として借り上げ社宅、家賃補助制度を調査研究すべきではないですか、伺います。
◎答弁(健康福祉局長)
介護職員の家賃補助制度についての御質問でございますが、市内介護保険サービス事業所に、新規で雇用された訪問介護員又は介護職員に対し、本人名義の賃貸住宅の家賃について1戸あたり2分の1、月額3万円を上限額として、最長で3年間の一部助成を行っているところでございます。
●質問
・本市の家賃補助制度としては介護・障害福祉施設職員のみ、借り上げ社宅制度としては保育士のみです。
本市の課題と要望
- 家賃支援制度について、今の国や市の制度では、対象となる職種が少ないという問題があります。空き家対策である住宅セーフティネットの対象は要配慮者であり、不足している中小企業や建設業者、市の教員やバス運転手には使えません。国に対して、家賃支援制度や空き家対策の対象を広げるとともに、市独自でも支援制度を作ることを要望します。介護職員などの家賃支援制度については、月額や期間などを拡充することも要望します。
- 空き家を活用した住居支援について、市内には利活用可能で「居住目的のない空家」である「その他の住宅」が24000戸あります。それを安価な住宅や借り上げ社宅にするには「リフォーム代がかかる」ことや不動産事業者との連携や情報提供などコーディネートする職員が足りていません。空き家のリフォーム補助や空き家対策の職員の増員を要望します。
- 労働者支援について、労働者への直接支援がほとんどありません。例えば兵庫県や千葉県が実施している奨学金返還・免除制度や岩手県が実施した中小企業の労働者への賃上げ支援制度などは、本市もぜひ、取り入れることを要望します。