むねた裕之
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川崎市・ぜん息患者医療費助成を「取りやめ」・・公害被害者から命の制度を奪うな!

12月7日、川崎市議会12月議会で日本共産党の代表質問が行われ、「ぜん息患者医療費助成制度」について質疑が行われましたので、紹介します。

◎質問

「ぜん息患者の医療費助成制度」についてです。

「ぜん息患者の医療費助成制度」についてです。11月24日、川崎市地域医療審議会は「アレルギー疾患対策の方向性について」市への答申を出しました。この答申は、「小児ぜん息患者医療費支給事業」と「成人ぜん息患者医療費助成制度」の「取りやめ」を求める、受け入れがたい内容を含んだものです。この答申に対し、翌日、神奈川県保険医協会から、市長に対し「助成制度の廃止を決定することの無いよう強く求める」談話が出されました。専門家からの指摘は重要です。談話では「ぜん息というのは完治困難な疾患であり、最悪の場合は命を失うこともある」「生涯にわたって治療が必要な患者にとって市の制度の果たす役割は非常に大きい」と述べていますが、ぜん息患者にとって、この助成制度が「命綱」であるという認識はあるのか、市長に伺います。

 さらに談話では「市の制度の趣旨は、公害被害者の救済」であり、現在でも「公害被害者の多くが利用している」と述べています。公害被害者にとって命綱である制度を奪うつもりなのか、市長に伺います。もし「助成」を無くし、患者の医療費負担を増やせば、受診抑制が起こり、適正な治療を受けられない事態が引き起こされるのではないですか、市長に伺います。

 市長は記者会見で「患者や家族から、話す機会が欲しいと訴えがあるが、会う機会を作るのか」と記者に聞かれ、「文章で答えている」「これほど誠実なやり方はない」と答えていますが、患者の命にもかかわる重大な制度の検討にあたって、当事者の生の声を聴くのは当然ではないですか、市長に伺います。

◎答弁

今回の答申に関して、今後取りまとめる本市の総合的なアレルギー疾患対策に最大限尊重し、アレルギー施策全般について、しっかり方向性を示すことが重要であると考えております。

また、御意見については、これまでも文章で丁寧に回答している経緯もございますので、引き続き文書にて誠実に対応してまいのたいと存じます。

◎再質問

成人ぜん息患者医療費助成制度」の認定者数は、毎月50人以上増え、現在では、8,831人に上り、「小児ぜん息患者医療費助成制度」の適用者は、3,406人、合わせて、1万2,237人にも上ります。制度が廃止されれば、経済的理由から、受診控えが起こることが強く危惧されます。この質問に対する答弁はありませんでしたが、医療費の負担増が受診抑制をもたらすことになるのではないか、市長に伺います。

ぜん息患者の方たちとの直接対話について「文書で誠実に対応してまいりたい」とのことですが、市長は「市政運営の基本」で「あらゆる現場に足を運び、対話する姿勢を改めて大事にしてまいりたい」と述べています。自らの主張に則れば、ぜん息患者さんとの対話は当然行うべきと思いますが、市長に改めて伺います。

◎答弁

今回の答申に関して今後取りまとめる本市の総合的なアレルギー疾患対策に最大限尊重し、アレルギー疾患対策である医療費助成制度も含め、施策劃受について、しつかり方向性を示すことが重要であると芳えております。

また、御意見については、これまでも文章で丁寧に回答している経緯もございますので、引き続き文書にて誠実に対応してまいりたいと存じます。

◎再々質問

先に紹介した「神奈川県保険医協会」の談話は、「ぜん息患者医療費助成制度のそもそもの趣旨は、公害被害者の救済であり、趣旨を変更させられた現制度にあっても、公害被害者の多くが利用している。」と指摘していますが、この制度が公害患者の救済制度として、公害被害者の命を懸けた運動の中で、築いてきた「命をつなぐための制度」だという歴史的な経過を忘れてはなりません。

さらに、談話では、「懸命に生きていた人が知らず知らずのうちに汚染物質にさらされて、ある日、ぜん息を発症させられた。」と述べている通り、ぜん息は個人の責任ではなく、大気汚染という「社会的決定要因」によって引き起こされるものです。そして、ぜん息は死と向かい合わせの疾患です。一般社団法人日本アレルギー学会のぜん息予防・管理マニュアルは、ぜんそく治療の目的を患者の症状悪化を防ぎ、ぜん息死を回避することだとしており、厚生労働省もぜん息患者が重篤な発作を起こして、病院に搬送される前に息絶えてしまうことを防げなければならないと、「ぜん息死ゼロ作戦」に取り組んだほど、深刻なものです。だからこそ、ぜん息患者の皆さんは、自分たちの声を直接聞いてほしいと訴えているのです。

このように、ぜん息というのは、命に係わる疾患であり、この制度は公害患者を救済するためのものです。被害者から、命にかかわる「制度」を奪うような検討が始められるというのに、被害者に直接会うこともしないのですか、市長に伺います。

◎答弁

繰り返しの御質問ですので、先ほどお答えしたとおり、引き続き誠実に対応してまいりたいと存じます。

◎最後の意見

 ぜん息患者の医療費助成制度については、公害被害者の救済を趣旨とする制度であり、命にかかわるような制度を被害者から奪うことに対して、何の認識も示さず、直接の被害者に会うことすら最後まで拒み続けました。

学校給食の無償化については、憲法26条で義務教育は無償とし、すでに256自治体で無償化が実現、岸田首相自身が「その負担は自治体が判断することを妨げない」と答弁しているのに、最後まで「保護者負担とする」として拒み続けました。

教員不足の問題でも、義務教育の機会すら保証できない事態となっているのに、その根本原因である定数内欠員をすぐに解消するとは明言しませんでした。

特養ホームについては、待機者が3000人近くいるのに、新規増設計画はゼロ。市営住宅については、応募倍率が10倍を超えており待っている方が大勢いるのに、一切増設するとは答えませんでした。

このように今の市政というのは、市民の福祉・くらしに、あまりにも冷たいといわざるを得ません。

わが党は、市民の福祉・くらしを支える市政に転換することを求めて、あとは委員会に譲り、質問を終わります。