むねた裕之
むねた裕之むねた裕之

川崎市・特別自治市・・県の警察・交通、河川整備、コロナ病床の代替機能の方針なし

12月7日、川崎市議会12月議会で日本共産党の代表質問が行われ、「特別自治市」について質疑が行われましたので、紹介します。

◎質問

特別自治市制度(特別市)についてです。

市は「二重行政の無駄を解消することを目的に、県が実施している事務・権限や各種県税の課税徴収も合わせて市で行う」としています。

二重行政についてですが、すでに住民サービスに直結するほとんどの事務は市が行っています。総務委員会での質疑では、二重行政の例として「幼稚園などの許認可権の事務」という答弁でしたが、特別自治市が必要とする理由としては、あまりにも説得力がありません。

税財源の移譲という問題も出ています。県は3月17日の報道で「仮に3政令市が特別自治市に移行した場合、県の政策的経費の3分の1に相当する財源不足に陥るとの試算を示し、特別自治市以外の市町村での行政サービスの維持が困難になる」として明確に反対をしています。このような県の見解に対して、県は財政不足にならないという根拠を市長に伺います。

県との総合調整機能についてです。

 県の「特別自治市構想等大都市制度に関する研究会」から21年11月に報告書が県知事に提出されました。その中で「住民は、道府県の区域外となり、知事・県議会議員の選挙に参加する機能が失われるとともに、災害対応や新興感染症対策等における広域自治体のバックアップといった県の総合調整機能が失われ、これまで通りの住民サービスを受けられなくなる」と指摘されています。例えば、警察署の維持、治安維持、交通環境の整備、そのための体制はどのように確保するのか、伺います。今まで県がやってきた河川の改修工事やコロナの病床確保、感染防止機能などは、どのように対処するつもりなのか、市長に伺います。

◎答弁

特別市への移行に伴う県の見解につきましては、県内三指定都市で7月に考えをまとめており、広域自治体において必要な財政需要については、一義的に地方交付税で措置され、国・地方間の適切な税源配分や財政調整が可能となるよう、制度の見直し等がなされるものと認識しているところでございます。

次に、県の総合訓整機能につきましては、国の第30次地方制度調査会において、特別市が警察事務を担う場合には広域犯罪への対応に懸念があると指摘をされておりますことから、指定都市市長会等と連携して、国とも意見交換を行うなど検討を深めていく必要があると考えております。市及び市域において県に属する事務につきましては、住民に身近な基礎自治体である指定都市に権限と財源を一元化し、その全てを一体的に担うものでございます。

◎意見

税財源の移譲について、「県は財政不足にならないという根拠を」との質問に対して、「国の税源配分の見直しがなされるもの」として「地方交付税で措置される」という答弁でした。しかし、国との合意がない今の状況では、地方交付税で補填されるという何の保証もありません。

県との調整機能についてですが、「警察署の維持、治安維持、交通環境の整備」「河川の改修工事やコロナの病床確保、感染防止機能」などは市独自でどのように対処するのか、との質問に対して、答弁は「国とも意見交換を行う」などにとどまり、何ら具体的な対処方針は示されませんでした。これらの機能を市独自でやろうとすると、大規模な体制と税負担になることは確実です。

このように対処方針もないのに、立派なパンフレットを作成し、芸能人と対談し、町会・自治会への出前説明会まで実施をして少なくない市税を使っています。国・県との合意さえなく、具体的な対処方針もない現状で特別自治市を推進することは見直すべきです。