むねた裕之
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川崎市臨海部-扇島へのアクセス道路、港湾整備(2000億円)がなぜ必要か?

2月28日、日本共産党の代表質問で、むねた市議団長が「臨海部の大規模事業、扇島土地利用転換について」質疑をしましたので、紹介します。

●質問

臨海部の大規模事業についてです。

24年度予算の臨海部関連の予算についてですが、港湾費は一般会計、特別会計合わせて183億円、臨海部国際戦略本部の予算20億円が計上されています。この中には、臨港道路東扇島水江町線整備に37億円、コンテナターミナル整備事業に11億円、東扇島堀込部土地造成事業23億円、JFE撤退した跡地利用のための土地利用転換に5億円など臨海部の大規模事業に約91億円、補正も合わせると120億円が計上されています。中小企業などの予算と比べても臨海部の大規模事業には湯水のように使われています。

この中には市民にとって不要不急の事業も多数含まれています。特に臨港道路東扇島水江町線は、必要だとする根拠であったコンテナ取扱量は目標40万TEUの半分もいかず、事業費は当初の3倍、約1500億円にも跳ね上がっており、不要不急の事業となっています。このような市民にとって不要不急の大規模事業は中止・凍結をして、今一番必要な防災の予算に振り向けるべきです、市長に伺います。

◎答弁

臨海部における取組につきましては、川崎の優れたポテンシャルを活かし、大規模な士地利用転換への的確な対応や、成長が見込まれる分野の産業振興などにより、市内経済を活性化し、税源酒養を図る取組として積極的に進めているものでございまして、市民の皆様の安全.安心な暮らしを支えるためにも、重要なものと考えているところでございます。

減債基金からの借入れについての御質問でございますが、令和6年度における減債基金からの新規借入額は、物価の高騰が続く中で、退職手当等の人件費の増や、子育て施策・障害者施策に係る扶助費の増などにより、歳出の増が市税等の歳入の増を上回ったことから、前年度の当初予算と比較して、 37億円多い157億円となったところでございます。

●再質問

扇島の土地利用転換について、市長に伺います。            【市長】

「JFEの撤退で、雇用、税収など、どれだけの経済的な損失があったのか」という質問に対して、「従業員1200名、関連企業の労働者2000名に影響」があった、「税収については答えられない」という答弁でした。3000名以上の労働者の雇用に影響があり、市にとっても、その方たちの個人市民税、JFE撤退による法人市民税や固定資産税など大きな経済的損失が出ることは間違いありません。そういう企業に対して、跡地、港湾などの整備に2000億円の市費を投入する。一方、中小企業に対しては、融資などを除いた予算額は、わずか16億円、中小企業が撤退しても跡地の整備は自己負担です。一企業に対して、これだけの支援をすることについて税金の使い方として「公平性」に欠けるという認識はないのか、市長に伺います。

◎答弁

土地利用転換にあたりましては、公共性・公益性の高い未来志向の土地利用を目指しており、国の重要政策と連動しながら、カーボンニュートラルの実現と同時に、次代の柱となる新たな産業の創出を図ることとしております。

こうした取組を加速し、税収の確保や雇用を生み出すことにより、地域の持続的発展につなげ、市民生活を支えるとともに、我が国の課題解決に資する効果的な土地利用転換を、早期に実現してまいります。

●再々質問

扇島の土地利用転換についてです。

市費2000億円を出す根拠について市長に伺います。

市費2000億円の内訳として、扇島へのアクセス道路と大水深バースをあげています。市の予想図では、扇島と扇町を結ぶアクセス道路が描かれており、それを含む道路関連の事業費は3600億円、市負担分は1250億円としています。これまで扇島では、年間約300万トンの鉄鋼製品を生産し、従業員1200人、関連会社の方も入れると3000人以上の労働者が働き、その材料、製品を運搬し、労働者が移動するのに、今現在の道路で間に合っていました。今後、跡地利用で入ってくるのは水素拠点くらいで、他はほとんど決まっていません。水素拠点を作るからと言って、これ以上のアクセス道路が必要だという根拠はどこにあるのか、市長に伺います。

水素拠点の大水深バースについて、概算事業費としては150億円、市負担分は80億円としています。すでにJFEが使っている大水深バースがあるのに、なぜ、改修が必要なのか、市長に伺います。今のところこのバースを使うのは水素関連企業です。本来、このバースを使う企業が出すべき整備費用をなぜ市が出すのか、市長に伺います。

◎答弁

道路等のアクセス強化につきましては、土地利用方針において、先導エリア等の短期的な道路整備に加え、 長期的取組として、 2050年頃を想定する先導エリア以外の士地利用転換の概成に合わせ、将来の交通需要に対応するため、扇島地区と内陸部とのアクセス強化の検 討を行うこととしており、両取組を切れ目なく進めてまいります。

また、大水深バースの改修につきましては、我が国の カーボンニュートラル化を先導するため、水素等の供給拠点や、港湾物流拠点等の形成に資する活用形態への転換に必要となるものと考えております。

本市といたしましては、こうした整備を進めることにより、公共性・公益性の高い士地利用転換を早期に実現し、川崎臨海部の持続的発展につなげ、市民の生活を支 えるとともに、我が国の課題解決に貢献してまいりたいと存じます

●最終意見

 最後に意見を述べます。

市税収入は過去最大、財政力はトップなのに、社会保障費は平均以下、子ども医療費などは県内最低、特養ホームは一切新設せず、防災についても耐震補強には応えない冷たい予算となっています。一方で、臨海部の一企業の撤退による跡地利用、不要不急の大規模事業には2000億円も支出するなど、市民にとって、きわめて不公平な予算となっています。

しかし、わが党が提案しているように、政令市トップの財政力を使い、他都市の1.6倍もある減債基金への積立金を減らして市民のために使えば、日本トップクラスの福祉施策が実現できます。また、臨海部のJFE跡地は、水素戦略ではなく、太陽光発電を中心にして、再エネ、省エネの企業を誘致し、再エネ・省エネの生産・供給拠点にすれば、日本の大都市として初めて、再生可能エネルギーでの自給自足を実現するモデル都市となります。このように川崎市は大きな可能性を持っていることを指摘して、あとは委員会に譲り、質問を終わります。