むねた裕之
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等々力緑地再編:800本の樹木の伐採、スーパー銭湯・商業施設乱立

等々力緑地の整備を民間事業者に丸投げ

川崎市は等々力緑地再編整備実施計画を改定し、23年4月からPFI法に基づく事業手法を活用し、緑地・公園の設計・建設・維持管理・運営すべてを民間事業者(川崎とどろきパーク)に委託しました。

計画変更の公聴会で公述人全員が反対

24年10月、等々力緑地・都市計画素案に対する公聴会が開かれ、15人の公述人が参加。民間事業者から整備計画素案が発表されましたが、大量の樹木が伐採され、スーパー銭湯など多くの商業施設が乱立すること、憩いの広場、広域避難場所に立体駐車場ができることなどから、公述人全員が反対する異例の公聴会となりました。

樹齢60年の樹木800本を伐採

「等々力緑地を守る会」の調査では、樹齢60年の樹木800本が伐採されると試算しています。北米原産のメタセコイヤ、外周園路のヒマラヤスギなど貴重な樹木、大木が失われ、催し物広場の桜など市民の憩いの場の樹木も伐採の対象になっています。市が今実施している緑化フェアの趣旨に反するようなことが平気で行われようとしています。

子どもの広場を潰してスーパー銭湯と商業施設を

事業者の説明で、現在の子ども広場(フロンターレ広場)にスーパー銭湯が建設されるという計画を聞いて公述人の方々から驚きの声が上がりました。自由提案施設について、事業者は27店舗の商業施設が入る予定と説明がありましたが、どんな店舗が入るかは明らかにしていません。しかし、代表質問で「ホテル、ボーリング場、ゲームセンターなどの遊戯施設の建設も可能なのか」という質問に対して、行政の答弁では否定はしませんでした。

花見の桜を伐採して横浜スタジアムの2倍の駐車場

花見の会場である催し物広場などに立体駐車場が建設され、その収容台数は7万人収容の横浜日産スタジアムの約2倍にもなります。公園の中央園路は、中原小学校の通学路です。駐車場、商業施設、スーパー銭湯の建設により、交通渋滞が起きたり、子どもたちの安全や環境が悪化することは必至です。

事業費は1年で2倍に増額され1200億円に

23年4月に契約した事業費は633億円ですが、24年12月に増額された事業費は1183億円、1年で約2倍に膨れ上がりました。この事業費を精査するために、スタジアムなどの各事業費を質問しましたが、「各施設の事業費については事業者の権利、利益を害するため」非公開という答弁でした。結局、事業者の利益最優先で、事業者の言い値で事業費を2倍にするのです。

原因:都市計画から「緑地」削除、PFI事業で民間委託に

代表質問では、このような計画を可能した原因について2つのことを指摘しました。

一つは、都市計画の素案で等々力緑地の取扱を「緑地」から「公園」に変更したことです。「緑地」を削除することで、その目的である「緑地の保全」が削除され、「公園」に変更することにより「休息、鑑賞、遊戯、レクレーション」などの収益施設の建設が可能になります。もう一つの原因は、この事業をPFIで行っていることです。PFIにより、企業の利益を害することは、みな企業秘密で非公開となります。

民間委託で行政・議会・市民の関与なく「稼げる公園」に

民間委託(PFI)にすることで、事業費や収益施設の店舗についても非公開にされ、事業費や内容について検証できず、このことで行政、議会、市民が関与、監視をすることが困難になります。結局、緑地・公園の民間委託は、企業の収益を最優先にした「稼げる公園」にしてしまうのです。

都市計画の「緑地」から「公園」への変更は撤回を!

PFIの事業契約は解除し、従来の方式に!