むねた裕之
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決算の特徴:財政力は政令市トップ、収支も黒字なのに福祉は平均以下

9月14日、川崎市議会9月議会での日本共産党の代表質問「22年度決算の特徴について」の質疑を紹介します。

市税は過去最高、財政力は政令市トップ

●質問

2022年度決算の特徴について、市長に伺います。

 2022年度一般会計決算では、歳入は前年度比100億円増の8580億円となりましたが、これは市民税や固定資産税などの市税の増、本庁舎建替事業の進捗による市債の増などによるものです。市税は、136億円増の3782億円で過去最高となり、これは個人市民税が所得の増加により51億円の増、固定資産税が家屋の新増設により44億円増、法人市民税も企業収益により28億円増などによるものです。財政力指数は、政令市で唯一、1を超え、基準財政収入額が需要額を上回っており、政令市トップを続けています。そのため政令市で唯一の普通交付税の不交付団体となっています。財政健全化指標は、すべて基準値を下回っており、極めて優良。一人当たりの市債残高は、政令市の平均よりも12万円低く、借金の負担額が少ないのが特徴です。川崎市は、政令市で人口増加率は7年連続3位以内、平均年齢が最も若く、生産年齢人口割合が最も大きい都市で、人口推計でも今後7年間は増加を続けるため市税収入の増加は今後7年間続くと予想されます。このように、市税収入、財政力指数、財政健全化指標のどれをとっても、川崎市は政令市でトップクラスの財政力を持っています。

予算では239億円の大幅赤字が、決算では19億円のプラス

収支フレームについてです。

22年度予算では239億円の収支不足が出るとしていましたが、決算では19億円のプラスとなりました。収支不足をなんと250億円以上も過大に試算していました。わが党は、予算、決算議会で何度も収支不足額が過大であると主張してきましたが、またまたその通りになりました。22年度の収支不足額ついて、なぜ、これだけの誤差が生じたのか、伺います。今後の収支について、23年度―206億円となっていますが、コロナ禍でも3年連続黒字となったのに、どうして今後200億円以上もの赤字となるのか、市長に伺います。これだけの誤差が出ている収支フレームは、見直すべきです、市長に伺います。

減債基金は他政令市より800億円多い

減債基金についてです。

22年度予算では減債基金から239億円借入れる予定でしたが、決算では収支不足が出なかったために借入はゼロとなりました。減債基金残高は、一般会計分でみると積立額451億円、取崩額219億円で2532億円となり、一人当たりの残高は政令市平均の1.6倍にもなります。政令市の減債基金残高は、取崩額の平均4年分ですが、本市の場合は8年分にもなります。減債基金からの借入が527億円ありますが、それを差し引いた実質残高は2005億円ですが、取崩額4年分を差し引いても800億円以上も多く、他都市と比べて、極めて多い残高となっています。今後6年間、毎年200億円近い積み増しをして2028年度には3372億円、今よりさらに800億円以上も残高が増えるのです。それ以降の返済額からみてもあまりにも多額の残高です。減債基金の返済額は、2029年以降、急に増えていますが、JFE跡地利用の事業費のために減債基金を活用するのか、市長に伺います。

減債基金の積立額を減らして物価高騰、市民、中小企業支援に

物価高騰などで市民生活・中小企業の経営が大変になっていますが、市のこれに対する独自支出は、わずかです。物価高騰の中で財政支援が必要な時だからこそ、減債基金の積立額を減らして市民生活・中小企業支援に回すべきです、市長に伺います。

社会保障費は政令市平均より低く、臨海部の不要不急事業には80億円

社会保障と臨海部の大規模事業についてです。

社会保障費である扶助費は、子育て世帯への臨時給付金の減により、前年度比4億円の減となっています。一人当たりの扶助費の額は引き続き政令市平均を下回っており、福祉予算である民生費も1人当たりにすると政令市平均よりも約2万円低い状況です。一方、臨海部の大規模事業には、臨港道路東扇島水江町線整備59億円、コンテナターミナル整備事業9億円、東扇島堀込部土地造成事業は10億円増の11億円など不要不急の事業に約80億円が支出されています。不要不急の大規模事業は直ちに中止・凍結し、地方自治体の本旨である福祉・くらし予算を増額すべきです、市長に伺います。

市税収入136億円増の3782億円で過去最高
財政力指数政令市トップで、普通交付税は唯一の不交付団体
収支予算では239億円の赤字が、決算では19億円の黒字
市債残高他政令市よりも一人当たり12万円少ない
減債基金230億円積み増し、他政令市の1.6倍で800億円多い
福祉(民生費)他政令市より一人当たり2万円少ない
臨海部の大規模事業費不要不急の事業に80億円

●答弁

令和4年度決算におきましては、当初予算に対して市税が増収となったこと、保育所の利用児童数の増加が見込みを下回ったこと、各種感染症の予防接種者数が見込みを下回ったこと等により、最終的に収支不足とはならなかったものでございます。

次に、収支フレームにつきましては、持続可能な行財政基盤の構築に向けた指針であり、本市の総合計画実施計画や行財政改革プログラムの取組を反映して策定しているものでございますことから、今後も、実施計画等の策定とあわせて改定してまいります。

次に、減債基金への積立につきましでは、世代間の公平を図るために、市債の満期一括償還に備えて計画的に行っている償還そのものであり、残高の多寡にかかわらず当然に行うべきものでございます。

次に、財政運営につきましては、社会保障や防災・減災対策、都市機能の充実など、誰一人取り残さず、今後も持続可能な都市であり続けるため、乗り越えなければならない課題に、バランス良く、的確に対応しているところでございます。