むねた裕之
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市職員(会計年度職員)の8割は女性で、賃金は正規の1/3

9月21日、川崎市・決算審査特別委員会(総務分科会)でむねた議員は「市職員の非正規、会計年度任用職員について」質疑を行いましたので紹介します。

  • 市職員の人数(教職員を除いて)について、この10年前の正規職員、非正規職員と直近の正規職員、会計年度職員の人数について伺います。

◎答弁

平成22年4月1日時点の旧県費負担教職員数を除く全会計の職員数は、常勤職員が1万3,678人、非常勤 嘱託員が2,163人、臨時的任用職員が1,332人、 令和4年4月1日時点の職員数は、常勤職員が1万3,1 96人、会計年度任用職員が3,794人となっているところでございます。

●質問

10年間で正規職員500人減、非正規300人増

・10年前と比べて正規職員が500人減り、非正規職員は300人増えています。業務内容としては、特に窓口や事務作業における「定型的な業務」(Eランク)で正規から非正規に置き換わっており、今まで正規職員がやってきた仕事を非正規の方に移行しているということです。

  • 市職員の男女の比率について、正規職員と会計年度職員の男女比を伺います。

◎答弁

令和4年4月1日時点の常勤職員の男女比率は、男性 56.5%、女陛43.5%、会計年度任用職員は、男性 23.5%、女性76.5%となっているところでございます。

●質問

正規職員は男性6割、非正規は女性8割

・正規職員では、6割が男性、会計年度職員では8割が女性です。

  • 市職員の賃金について、正規職員(男、女)と会計年度任用職員(男、女)の平均年収を伺います。

◎答弁

市長事務部局における常勤職員の男性の平均年収につきましては、およそ745万円、女性は、およそ667万 円でございます。

同じく、月額で支給されている会計年度任用職員につきましては、男性の平均年収が、およそ249万円、女性 がおよそ242万円でございます。

●質問

会計年度職員の賃金は、正規の3分の1

・会計年度職員の賃金は、正規職員の3分の1です。非正規の職員の8割が女性で、しかも賃金が正規職員の3分の1です。これこそ、「ジェンダー不平等」との声が出ています。

  • 会計年度職員の年収について、250万円以下の方は何割か、伺います。

◎答弁

月額で支給されている会計年度任用職員は、その多くが定型的な業務に短時間勤務で従事していることから、約7割が年収250万円以下となっているところでございます。

●質問

・7割が250万円以下の賃金で働いています。

  • 会計年度職員の昇給について、事務職(E)の場合の上限は決まっているのか?フルタイム(38.75h)で働いた場合、その額はいくらか?(1級29号)伺います。

◎答弁

定型的な業務に従事する職員につきましては、行政職 給料表の1級24号給に相当する額を基準とし、本市での勤務年数を踏まえ、 1級29号給を上限とした範囲で額を決定いたしますが、仮に、この上限によりフルタイムで働いた場合の年収は、およそ310万円になるものと見込まれます。

●質問

フルタイムでも上限・月19万円「暮らしていけない」

・フルタイムで働いても上限が月19万円です。これでは暮らしていけません。

・また会計年度任用職員は地方公務員法において一般職であるため、服務規定が適用されます。たとえば兼業の禁止もフルタイムの場合は適用されるので、「収入が足りないから」と、アルバイトをするわけにはいきません。

  • 会計年度任用職員の働き方について「ジェンダー不平等」「正規との賃金格差」という問題を助長しているのではないかとの声に対して、どういう見解を持っているのか、局長に伺います。

◎答弁

会計年度任用職員制度は、地方公共団体における行政需要の多様化等に対応し、公務の能率的かつ適正な運営を推進することを目的に、地方公務員法及び地方自治法に規定された制度でございまして、その業務については、 配属された部署内で、常勤職員が行うべき業務以外の指定された業務を担うものと整理しているところでございます。

募集、採用に当たりましては、平等取扱いの原則を踏まえ、年齢や性別に関わりなく均等な機会を与える必要がございまして、本市におきましても、原則公募で選考を行っており、男女比率につきましては、その結果と認識しているところでございます。 また、会計年度任用職員の報酬額の決定につきましては、条例に基づき類似する職務に従事する常勤の職員に 適用される給料表を準用し、職務の内容や責任、職務遂行上必要となる知識、技術等を考慮するため、職務内容に応じて定めたランク表により決定しておりますので、適正な給与水準となっているものと認識しているところでございます。

●質問

会計年度制度は「ジェンダー不平等」「正規との賃金格差」を助長

「官製ワーキングプア」

・「ジェンダー不平等」「正規との賃金格差」という問題に対して、答弁は業務内容や賃金について「地方公務員法、条例に基づいている」ので「適正な給与水準」ということです。

・自治労連という全国の自治体職員が加盟する組合が行ったアンケートでは、会計年度任用職員の仕事の内容について、「専門的な仕事」13%、「正規職員とほぼ同じ仕事」28%と答えており、4割の方が「正規職員とほぼ同じ仕事をしている」という結果が出ています。同じような仕事をしているのに賃金が正規に比べて極端に低いということに対して、「正規の公務員と同じ量の仕事をしていて、給与は倍近く違う」「名ばかり公務員で、これではとてもじゃないが生きていけない」との声が出ています。まさに「官製ワーキングプア」です。

雇用の仕方について

  • 会計年度任用職員は無期転換の申し込みの権利はあるのか、伺います。

◎答弁

地方公務員につきましては、労働契約法が適用除外となることから、そのような仕組みは設けられていないところでございます。

●質問

会計年度職員には無期転換(5年で正規雇用)の権利なし

・民間の有期雇用の労働者の場合、毎年の契約を繰り返し5回目の更新後に、無期転換の申込権が発生します。要するに有期契約の非正規労働者でも民間の場合、5年働くと無期雇用の正規労働者に転換できるのです。しかし、会計年度職員は、無期転換の権利がなく、何年働いても「官製ワーキングプア」から抜け出すことができません。

  • 採用について、再度の任用は何回まで可能か、伺います。

◎答弁

任用時には地方公務員法の規定により、原則として公募による選考が求められておりますが、本市においては、勤務実績等に基づく能力実証により、4回まで公募によらない再度の任用を行っております。再度の任用を4回行った場合には、改めて公募による選考を行っており、合格した場合には改めて任用するものとしております。

●質問

「5年ごとの公募」が恐怖

・川崎市の場合、再度の任用について、5回まで更新されますが、5年働いても無期転換の権利がないだけではなく、一般公募となります。ほとんどの会計年度職員にとって「5年ごとの公募」が大きな不安となっています。

・国会では、再度の任用について総務省は「地域の実情に応じつつ勤務実勢を考慮して選考を行うことが可能」として、総務省マニュアルも改定させて「公募が必須ではない」ことに言及しています。

(要望)

総務省マニュアル「公募が必須ではない」に沿って継続雇用を

・「5年ごとに公募」するやり方を改め、安心して働き続けられる制度にするよう要望します。

賃金・手当について

・自治労連のアンケートでは、「賃金を上げてほしい」が59.5%でトップ、「一時金が欲しい、増やしてほしい」が39.1%で2番目、「定期昇給」が3番目でした。そもそも低すぎる賃金の改善を求める項目が上位4位までを独占しています。

  • 労働基準法の最低賃金は適用されるのか、伺います

◎答弁

最低賃金の適用につきましては、会計年度任用職員の職によって異なるところでございますが、いずれにしましても、最低賃金法に定める最低賃金を下回ることのないよう適切に対応しているところでございます。

●質問

会計年度(一般職)には最低賃金の適用なし、大幅賃上げを!

・一般職の場合、適用しないということで、公務労働者で、最低賃金が保障されないなんて驚きです。実際、全国の自治体の中でも最賃以下で働かされていた職員がいました。

(要望)

・全国の自治体労組の運動で、総務省は「地域の実情等に最低賃金が含まれること」を総務省に言及させました。

・10月から最低賃金が上がります。市の会計年度任用職員において、最低賃金以下で働く職員がいないのか調査を要求します。また、大幅な賃上げを要望します。

  • 手当や休暇について、正規職員と会計年度職員では、どう違うのか?

◎答弁

会計年度任用職員の手当につきましては、「地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律」による法改正の趣旨や総務省からの通知により、常勤職員との権衡を考慮し、期末手当のほか、時間外勤務手当や休日勤務手当、 通勤手当、特殊勤務手当等の支給を行っているところでございますが、長期継続雇用を前提しないこと等から、生活給的な性質である住居手当や扶養手当は支給していないところでございます。 また休暇制度といたしましては、国の非常勤職員との権衡や、会計年度任用職員の職務の性質等を考慮し対象となる特別休暇の種類や付与日数、給与支給の有無等について、一部、常勤職員と異なる取扱いをしているところでございます。

●質問

住居手当や扶養手当もなく、看護休暇も無給

・正規と比べて、住居手当や扶養手当もなく、看護休暇も有給ではありません。

(要望)

年内に勤勉手当を支給できるよう具体化

・昨年12月、国の期間業務職員と同じように、会計年度職員にも勤勉手当が支給できるようにする法改正に向けた閣議決定が行われました。年内を目途に準備を進めているということですので、この具体化を進めるよう要望します。

(最後の要望)

同一労働同一賃金、ジェンダー平等実現へ、賃金、処遇改善を!

・今まで述べてきたように、会計年度任用職員は、女性が圧倒的に多く、賃金が正規の3分の1程度であり、まさに「ジェンダー不平等」「正規との賃金格差」を助長するものです。しかも、無期転換の権利もなく、5年ごとの公募などで雇用が不安定なうえ、最賃さえも保証されない制度です。公務員の職場からまっとうな雇用を作らなければ、住民サービスの低下を招き、最終的に困るのは住民です。同一労働同一賃金、ジェンダー平等の社会実現のためにも、会計年度任用職員の賃金、処遇改善を要望します。