むねた裕之
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川崎市・リニア新幹線工事ー軟弱地盤でボーリング調査もされていないトンネル工事は中止を!

12月議会の一般質問「リニア中央新幹線・トンネル工事について」の質疑を紹介します。

リニア中央新幹線トンネル工事(高津区)について、まちづくり局長に

・川崎市内では、今、宮前区梶ヶ谷と麻生区東百合丘では、非常口工事が終了し、中原等々力では非常口工事が行われています。しかし、全国では重大な問題点が次々と明らかになっています。

最近のリニア工事における崩落事故を伺います

【答弁】

崩落事故につきましては、長野県と岐阜県の山岳トンネルエ区において、これまでに4件発生しており、トンネルエ事の発破作業等を原因として、トンネル上部の山の斜面が崩れ土砂が周辺道路へ流出した事故や、トンネル内で地山が崩落した事故であると、 JR東海がら伺っております。

・トンネル工事については、この間4件、崩落事故が相次いでいます。

【質問】

・昨年10月、東京・調布市で東京外環道の大深度トンネル工事が原因で道路陥没事故が起き、NEXCO東日本は2年間工事を中断し、地盤改良工事を行う方針を表明しました。これらの事故がリニア新幹線の工事にも大きな影響を与えています。

東京・調布市の外環道での陥没事故について、原因と被害規模を伺います

【答弁】

外環道の事象の原因につきましては、本年3月に公表された「東京外環トンネル施工等検討委員会有識者委員会」の報告書では、特殊な地盤条件のもと、シールドトンネルの施工時に土砂の取り込みが過剰に生じていたことなどとされております。

被害規模につきましては、外環道の事業者である東日本高速道路は、具体的な被害状況を公表しておりませんが、補償の対応状況といたしましては、本年9月末現在、補償対象地域の世帯数約1,000件のうち、家屋の修等を実施中もしくは完了とされた世帯数は、約200件と公表しております。

【質問】

・NEXCO東日本では、2年間工事を中止し、40戸の住宅を取り壊すなど200件の家屋が被害を受けているということです。陥没事故の原因は、「特殊な地盤条件」だということですが、

東京外環の「特殊な地盤条件」とは、どういう地盤ですか、伺います。

【答弁】

「特殊な地盤条件」につきましては、有識者委員会の報告書において、シールドエ事の掘進を再開する時にカッターが回転不能となった原因と考えられる、礫を含む細粒分の少ない砂層が掘削断面にあることや、単一の砂層が地表付近まで続くことにより、トンネル掘削による影響が地表面まで伝搬しやすく、さらに、表層部は他の区間と比較して薄い地盤であることが示されております。

【質問】

・特殊な地盤とは、礫を含む砂の層が地表近くまで続いていて、シールドマシンがその土砂を取り込みすぎたことが原因だったということです。

(高津区ルート)

・リニア新幹線トンネル工事の高津区のルートについて伺います。

高津区における千年新町付近の地盤の特徴を伺います

【答弁】

千年新町付近の地盤の特徴につきましては、中原区と高津区の境界付近に位置しておりまして、古い時代、多摩川が流れていた跡にシルト・砂礫などで構成される沖積層が堆積し、それよりも深い位置には上総層群の固結シルトが厚く存在していることが、ボーリング調査などによって確認されており、リニア中央新幹線のシールトンネルエ事では、その沖積層より十分に深い位置で、固く締まった地盤を掘削すると、 JR東海から伺っております。

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【質問】

・図のように、千年新町・新城地域の地層は、他とまったく違い、深く掘れています。深さ30mまで砂礫を含んだ沖積層、府中市と同じ砂礫層です。しかも昔の多摩川の河道ですから水分を多く含んでいます。

・2007年~10年に新城高校前においてシールド工法による工事で陥没事故が起きています。長さ40m、幅40m、深さ2mで原因はシールド工事により被圧された砂の層が原因で調布市と同じ原因。しかも相当の地下水が噴き出したということでした。

調布市の事故と同様のことが起こる可能性があるのではないか、伺います

【答弁】

JR東海からは、本市内で本年8月に開催された説明会において、外環道の事象も踏まえ、工事の安全性、振動等に関する実施すべき対策について示されており、施工管理の強化を図っていくと伺っております。

【質問】

・「トンネル上部にシルト層があるから安全だ」ということですが、シルト層はわずか20m、その上の30m以上は砂礫層です。しかも水分を相当含んでいるのです。トンネル工事の振動でシルト層に亀裂でも入れば、上層の地下水はトンネルに流入してくる。安全だとは全く言えません。

・「説明会で工事の安全性に関する対策について示された」ということですが、本当に安全性に関する調査を行ったのでしょうか。

高津区におけるルート上のボーリング調査の個所数を伺います

【答弁】

ボーリング調査の箇所数につきましては、大深度法の認可申請にあたり、高津区内では、ルート周辺で、 JR東海が実施した3箇所と、同社が公的機関等から収集した3箇所の、合計6箇所でございます。

*ディスプレイ

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【質問】

・一般的にボーリング調査は100~200mに1か所です。ところが問題の沖積層がある高津区と中原区の間のボーリング調査は、約1.5㎞にわたって1か所も実施されていません。最も危険な地域のボーリング調査が全くされていないのです。「これで安全です」とはとても言えません。

高津区における家屋調査の範囲と件数を伺います

【答弁】

家屋調査につきましては、シールドトンネルの直径約14メートルに、シールドトンネル端部から両側にそれぞれ約40メートルを加えた範囲を対象としており、高津区内では約700件を見込んでいると、 JR東海から伺っております。

【質問】

・高津区だけでも700件、調布市に匹敵するような件数です。範囲はトンネルの両側それぞれ40mということですが、新城地域でマンション建設を行った際、周辺の戸建て住宅がかなり広い範囲でひび割れなどの被害を受けました。地盤がズブズブで振動は広範囲に広がります。リニア新幹線トンネルの振動はこの範囲に収まるとは思えません。

・しかし、その対象家屋の方でさえ、ほとんど説明会には参加できず、このような実態を知りません。

(要望)

・家屋調査の対象住居に対して、1軒1軒、説明会での資料を渡して説明を行うこと。

・工事を中断し、ルート上のボーリング調査を100m間隔で行い、その結果を公表すること。

・安全確保のないままの工事の再開、着工は認められないこと。

これらをJR東海や国に要望を出すこと。

・市として工事に関する中立的な検討委員会(第三者委員会)の設置を要望します。