一般質問・中小企業支援―就業交付金制度と専門家を活用したマッチング支援を
6月26日、6月議会で、宗田議員は中小企業支援について一般質問しましたので紹介します。
中小企業の高齢化、人手不足は深刻
質問 宗田議員
5月にオープンファクトリーを開催、私も参加してきました。川崎北工業会の方からいろいろな要望を聞いてきました。
「どこも平均年齢が高いが世代交代が難しい」「若い人を雇ってもなかなか定着しない」など、高齢化、人材確保で苦労している声が出ています。人材確保は大きなテーマです。
全国的に後継者対策として注目されている北海道浜中町の就業交付金制度
北海道浜中町は新規卒業者やUターン就業者に交付金を交付することにより、後継者不足の解消、定住の促進を図ることを目的に就業交付金制度を創設し、昨年4月からスタート/月5万円を支給、期間は最大36か月まで/対象は、現在、漁業のほかに農業や商工業にも拡大/当初予算の840万円を超え補正予算を組むほど/策定に携わった前水産課長は「これがあるから家を継ぐ人もいて、予想を超える若者の呼び水に」なっています。
本市でも、中小企業向けに後継者不足解消、人材確保のための就業交付金制度の検討をしてはどうか、伺います。
答弁 経済労働局長
中小企業の人材確保等に向けた取組といたしましては、 産業界と連携し、市内産業の強みと魅力を積極的に発信し、それらを十分に理解していただくことが重要であると考えております。 こうしたことから、本市といたしましては、産業界と一体となった就職イベントの開催などを通じて、企業との出会いや仕事への理解を深める場づくりに取り組むと ともに、「キャリアサポートかわさき」をはじめとする就業支援を効果的に実施し、市内中小企業の人材確保等に取り組んでまいりたいと存じます。
質問 宗田議員
市としては、就職イベントやキャリアサポートかわさきの就業支援でということですが、それでもなお、大企業と比べて賃金や労働条件ではかないません。ぜひ、就業交付金制度の検討を要望します。
先端産業とのマッチング―工業会「なかなか手が出ない」
キングスカイフロントや新川崎創造のもりなど戦略特区の先端産業分野が中小企業の仕事につながっているのか、伺います。工業会からは、「市は特区にお金を相当かけているが、今の中小の技術では手が出ない。毎回、会議をやり、「手を挙げて」といわれるが、クオリティーが高すぎて手が出ない。何か成功例を示してほしい。」という声があがっている。
特区の先端産業分野とどのようなマッチングをおこなっているのか、中小企業の仕事につながった成功例や実績を伺います。
答弁 経済労働局長
本市におきましては、川崎市産業振興財団及び金融機関等と連携して「コーディネート支援活動・出張キャラバン隊事業」により市内中小企業を訪問し、企業の事業内容や強みを十分に把握した上で、中小企業とのネットワークを活かしたマッチング支援を行うなど、中小企業の先端産業分野におけるビジネスチャンスの創出等にも取り組んでいるととろでございます。加えて「新川崎・創造のもり」や「キングスカイフロント」におきましては、研究者と事業者が交流するサイエンスカフェ等を開催するとともに、市内中小企業等の技術PRの機会を設けるなど、新たなビジネスの創出の場となるよう取り組んでおります。
こうした継続的な取組により、具体的には、最先端のロボット機器を活用したべンチャー企業が、市内の複数の中小製造業と連携し、橋梁などの社会インフラの点検ロボットを実用化した事例や、 10T分野の中小企業が、同様に市内の複数の中小製造業と商品開発に向けた試作品を完成するなど、先端産業分野における中小・ベンチャー企業による実用化の事例が生まれているととろでございます。
今後につきましては、これまでのマッチング支援に加え、中小企業が開発した技術を、様々な企業が製品・サービスとして事業化する取組も合わせて進めることなどにより、市内中小企業のビジネスチャンスの拡大につながるよう取り組んでまいりたいと存じます。
大阪市―50人の専門家が企業訪問し、年間800件のマッチング
質問 宗田議員
工業会の方は「企業訪問も年に1回ぐらい来ても、中小の社長さんからは本音は出ない」という話が出たので、私が昨年12月の議会で取り上げた大阪市のマッチング支援を紹介しました。
大阪市は、訪問調査員はマッチングナビゲーターと呼ばれ、様々な経験と技術を持つ専門家集団で約50人の体制/みなさん、元大手メーカー・商社のOB/電機、機械、化学など様々な分野のトップ企業のOB/この人たちが自分の好きな時間に、自分の関心のある企業を訪問して継続的に支援/さらに月1回、50人が集まってマッチング会議、訪問した企業の魅力や技術力を紹介し、技術の活用や販路拡大につなげる/実績は、年間200社、800件のマッチング/これまでの受注総額は145億円にも上る。
企業訪問―工業会「技術をきちんと評価できる専門家を」
大阪市のマッチングの話をしたところ、工業会の方は「大阪のように自分のところの技術をきちんと評価してくれるような技術力を持った人でないとダメ。アンケートだけではなく、一歩踏み込んで具体的な成功例を示してほしい。会社はビジネスとして自分の技術がどう成り立つのかを探している。そういう目をもって訪問してほしい。細かく職員の方は回ってくれるが、そういう専門性が必要」ということでした。
川崎市の財団も、コーディネーター以外に専門家の方々を抱えているわけですから、大阪市のように、マッチングナビゲータとして実際に興味のある企業を訪問してもらい、定期的にマッチング会議を開催して、中小企業の技術を製品につなげるなど専門家の活用を要望します。
工業会からの要望「川崎市で働いて住んでもらう人をどう増やすかを考えて」
工業会から最後に「現在、会員数は昔の半分となり、工業会の職員も5人から2人に。これ以上減ると一気に工業会自体もなくなり、7~8割は住宅化されるのではないか」「市は、川崎で働いて住んでもらう人をどう増やすか、本当に考えてほしい」という要望をお伝えしたいと思います。