日本共産党・川崎市議団ー川崎市職員の給与引き下げに対する反対討論
11月30日、日本共産党・川崎市議団の勝又光江議員は、市職員の給与引き下げに関する議案に対して反対討論を行いましたので、紹介します。
私は、日本共産党を代表して、提案された議案第188号、川崎市職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例の制定について討論を行います。
本議案は、川崎市人事委員会からの勧告により、本市一般職員、任期付職員、特別職の期末手当の額を減額しようとするものです。一般職の期末手当の年間支給については、前年度より0.15か月分引き下げて4.30か月分とするものです。減額の理由を民間企業の一時金水準が公務員を下回ったためとしています。
委員会では、3つの問題点を指摘しました。第1は、給与を引き下げるという勧告は人事委員会の役割・目的に反するということです。人事委員会による給与勧告制度は、公務員が労働基本権を制約され、労使交渉により勤務条件を決定することができないため、その代償として第三者が勤務条件の決定に関与して、職員の利益を保護するために設置された制度です。民間の労使交渉において、給与を引き下げるという交渉を行わないのと同じように、その代償である人事委員会が職員の給与の引き下げを提案すること自体、労働者の利益に反しますし、この制度の役割、目的に反します。また今回、人事委員会は、「長時間労働の是正は、喫緊の課題である」「時間外勤務の要因の調査、分析及び検証を行い是正に努める」としています。指摘されているように川崎市の長時間労働の実態は深刻で、時間外労働が年480時間超の職員が毎年600人以上出ています。しかし、委員会での人事委員会の答弁では、この事実を把握しておらず、これへの対策についてもまともな答弁がありませんでした。これでは、労働基本権の代償機関である人事委員会の役割を果たしているとは言えません。
第2に、公務員の給与の引き下げは、日本経済にとって悪影響を及ぼすということです。コロナ禍の中で、日本経済は危機的な状況にあります。この日本経済を立て直すには、個人消費を増やし、そのためにも国民の可処分所得を上げる必要があります。そのようなときに公務員の給与を下げるということは日本経済の立て直しに逆行します。リーマンショックの時には民間に合わせて公務員の給与を下げ、さらに民間は公務員給与の引き下げに合わせて民間も下げるという悪循環に陥りました。このことで日本経済はさらなる消費の低迷、景気悪化を加速しました。このように、今議案の市職員の給与引き下げは、コロナ禍での日本経済の立て直しにも逆行し、景気悪化をさらに加速させるものです。
第3に、この給与引き下げは、コロナ禍の中で奮闘してきた市職員に対して、あまりにもひどい仕打ちだということです。
以上のように今議案は、人事委員会の役割・目的にも反し、日本経済の立て直しにも逆行し、何より、奮闘した職員の労苦にこたえるものになっていません。わが党は、特別職については、もともと高額な給与であったために引き下げには反対しませんが、今回の議案は、一般職の給与の引き下げも含んでいるため、賛成することはできません。