東京五輪への川崎市の対応―児童生徒を聖火リレーに最大3900人、観戦に420人動員
6月10日、川崎市第2回定例会で日本共産党を代表し片柳議員が代表質問を行いました。その中の「東京五輪に向けた川崎市の対応について」の質疑を紹介します。
●質問
組織委員会から医療スタッフの確保、「大会指定病院」などを要請されているのか?
東京オリンピック・パラリンピックについて、市長に伺います。
オリンピック組織委員会の要請についてです。
組織委員会は4月、日本看護協会に看護師約500人、日本スポーツ協会を通じてスポーツドクター200人を要請。さらに大会期間中、競技会場や練習場などに設置する医務室に医師、看護師など1万人の医療スタッフの確保。感染した選手などを受け入れる入院先として東京都内に約9か所、東京都以外に約20か所のオリンピック専用「大会指定病院」を各自治体に要請しました。この要請に対して神奈川県の黒岩知事は「特別に病院を用意することは、とても対応できる状況ではない」と述べるなど、首都圏知事から否定的な発言が相次いで出ています。組織委員会の医療スタッフ、大会指定病院の要請に対し、市からは出せないときっぱり拒否をすべきです、伺います
英国チーム選手スタッフ300人、サポーター200人の具体的な支援体制はまだ/対応できる状況ではない
英国チーム事前キャンプについてです。
川崎市が受入れを予定している英国チームは7月8日から事前キャンプを開始する予定です。英国チームは選手200人、スタッフ100人など関係者を含めると数百人規模になります。選手・スタッフには入国の際の2週間待機を免除する例外措置が取られるとしています。市は、選手・スタッフ受入れ支援、宿泊、移送などの管理・運営を行う事前キャンプ受入れ事務局を設置。また、約200人のキャンプサポーターによる運営支援を実施するということです。しかし、選手の宿泊先、選手の管理体制、医療体制、事務局の体制、職員を何人派遣するか、具体的には何も決まっていません。
全国では78の自治体が事前キャンプ受入れを中止しています。7/8の事前キャンプ受入れまであと1か月ですが、コロナ感染、ワクチン接種で現場が大変な中、とても対応できる状況ではないと考えますが、市長の見解を伺います。
聖火リレー出発式に児童生徒を3900人、競技観戦に420人を動員
聖火リレーについてです。
市は6/30、等々力陸上競技場で聖火リレー出発式を開催予定ですが、最大13000人の観覧を受入れ、近隣小中学校・特別支援学校10校から児童・生徒最大3900人を動員。聖火リレーについても市内児童20人がサポートランナーとして走ると発表しました。
子どもたちをオリンピック競技観戦に動員する学校連携観戦についてです。川崎市では中学校を中心に420人の生徒が参加予定です。この計画は、感染拡大前に作られたもので、感染リスクは考慮されていません。現在のような緊急事態宣言下と同様の状況でも聖火リレー、学校連携観戦に子供たちを動員するのか、伺います。こういう状況の中で実施することに教育的意義はあるのか、伺います。
緊急事態宣言下の自治体はほとんど中止、市も中止すべき
聖火リレー自体を中止する自治体が次々と出ています。千葉県の聖火リレーは県知事が「地域住民の安全安心を最優先にする」と述べ、全区間で中止。その他9道府県で中止を決めており、緊急事態宣言下の自治体ではほとんど中止を決定しています。川崎市はコロナ感染者数、医療逼迫状況ともにステージ4で、人との接触、人流を必死に減らそうとしているときに、1万人規模の観客を集め、学校の児童・生徒を動員して感染の危険を広げるような聖火リレー、出発式は中止すべきです、伺います。
東京五輪は中止をし、コロナ対策に集中すべき
わが党は、国に対して「東京オリンピックは直ちに中止し、コロナ対策に集中すること」を求めています。その理由は、第一にワクチンが間に合わないこと、第二にインド、ヨーロッパの一部、南米などで感染状況が非常に深刻なため、フェアな大会にならないこと、第三に医療従事者を東京五輪のために医療現場から引きはがすことはできないからです。市民、国民の安心安全を最優先に守る立場から国にオリンピック中止を求めるべきです、伺います。
●答弁
医療スタッフ、大会指定病院などの本市への要請はない
はじめに、大会組織委員会による医療スタッフ、大会指定病院などの要請につきましては、本市に要請はございませんし、今後もその予定はございません。
神奈川県は、県内の開催都市と大会組織委員会とで、感染症対策協議会を設置し、大会期間中の新型コロナウイルス感染症に関する医療体制について、調整を進めていると報告を受けているところでございます。本市といたしましても、東京2020大会における新型コロナウイルス感染症対策につきましては、引き続き神奈川県と連携して対応してまいります。
次に、英国代表チーム事前キャンプにつきましては、本市は、平成28年1月の英国のホストタウンとして登録されて以降、横浜市、慶應義塾大学とともに、英国オリンピック委員会及びパラリンピック委員会との良好なパートナーシップのもと、事前キャンプ受入れに向けた協議を進めてまいりました。東京2020大会の延期に伴い、事前キャンプ受入れも1年延期となのましたが、本市における英国代表チームの受入れ期間や受入れ競技など、事前キャンプの内容に大きな変更はございません。市民の皆さまに安心していただけるような事前キャンプの運営に向けて、引き続き綿密な準備を進めてまいります。
児童生徒の参加については、直前の感染状況を見極めたうえで
次に、児童生徒の参加につきましては、保護者の承諾を得て、さらに、直前の感染状況を見極めた上で、学校教育活動の一環として実施するものでございまして、基本的な感染防止対策を改めて確認するなど、参加に向けた準備を進めているところでございます。児童生徒が、オリンピック・パラリンピック大会を観戦し、関連行事に参加することは、スポーツの魅力、国際交流、共生社会や持続可能な社会の在り方等について、考えるきっかけとなる貴重な機会であると吉えております。
聖火リレーは、
次に、聖火リレーにつきましては、自国開催のオリンピックは多くの方々にとって幾度とない機会であり、聖火リレーはオリンピックを身近に感じられる貴重な機会であると考えているところでございます。現在、担当部署において神奈川県と様々な調整を行っておりますが、県からは「現段階では様々な状況を踏えながら可能な限り公道で実施する方向で進めたい」という意向が示されておりますので、本市といたしましても、実施に向けて感染症対策も含め準備を進めているところであります。
次に、大会の開催につきましては、オリンピックは、世界最大のスポーツイベントであることにとどまらず、オリンピック憲章において、若者への教育や、平和へ希求、相互理解、いかなる差別も排除することなどの「オリンピック精神」が定められております。私は、その精神を広めていくことこそが、自国でオリンピックを開催することの最大の意義であると考えており、本市としましても、こうした大会の持つ価値を活かす観点から、かわさきパラムーブメントに取り組んでまいりましたので、大会組織委員会や国においては、感染症対策に万全を期していただき、開催する意義を伝えていく必要があると考えております。
●再質問
聖火リレーは緊急事態宣言下、まん延防止の状況でも実施するのか?
聖火リレー出発式や学校連携観戦に児童生徒を動員することについてですが、「児童生徒の参加については、直前の感染状況を見極めたうえで」との答弁でした。それでは緊急事態宣言下、まん延防止措置、ステージ4などの状況でも参加させるのか、伺います。公道の聖火リレーについても、同様の状況でも実施するつもりなのか、伺います。
オリンピックの開催についてですが、オリンピック精神など「開催する意義を伝えていく必要がある」という答弁でした。しかし、多くの国民が感染拡大、医療の面から中止を求めています。現時点で川崎市は、まさに感染拡大の危険、医療逼迫の状況下にあるわけです。それでも市長は開催を支持するのか、命の危険よりもオリンピックを優先するのか、伺います。
●答弁
聖火リレーは今月中に県と組織委員会との間で判断する
はじめに、児童生徒の参加につきましては、基本的な感染防止対策を改めて確認するなど、開催を前提に参加に向けた準備を進めているところでございますが、直前まで感染状況を見極めてまいります。
次に、オリンピック聖火リレーにつきましては、今月中旬に神奈川県と大会組織委員会の間で判断されると伺っております。
次に、大会の開催につきましては、開催する準備が進められている中で、オリンピックを開催することの意というものを、しっかりと大会組織委員会や国が伝えていく必要があると答弁をしたものでございます。