むねた裕之
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予算審査ー地球温暖化対策(廃棄物処理)について

3月12日、予算審査特別委員会でのむねた議員の「地球温暖化対策(廃棄物処理)について」の質疑を紹介します。

●質問

(廃棄物の排出削減ついて)

地球温暖化対策の廃棄物処理について、世界的に「廃棄物を焼却に依存するのか、または廃棄物を大幅削減していくのか」が問われています。世界の都市首長会議で「2030年までに一般廃棄物の最低70%を埋立・焼却以外の方法で処理する」として「2030年までに埋め立て・焼却を30%以下に抑える」としています。

日本の一般廃棄物の焼却率は80.3%ですが、市の焼却量と焼却率を伺います。

●答弁

平成30年度の本市のごみ総排出量は約50万7千トンで、そのうちごみ焼却量は、約35万6千トンでございます。

ごみ焼却率は、平成20年度では約76%でございましたが、分別収集の拡充などの取組を進めた結果、平成30年度には約70%に減少したところでございます。

(ディスプレイ)

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・市の一般廃棄物の排出量51万トンのうち、焼却量は36万トンで事業系11万トン、家庭系25万トンです。焼却率は70%、日本全体80%と比べて焼却率は10%低いということです。

市の廃棄物処理に伴う温室効果ガス排出量と廃プラの焼却に伴う温室効果ガス排出量を伺います。

●答弁

温室効果ガスの排出要因といたしましては、ごみ収集車の走行など収集運搬過程から排出されるもの、ごみの焼却など中間処理過程から排出されるものなどがございますが、平成30年度の本市の廃棄物処理に伴う温室効果ガス排出量は約17万3千トンでございます。

そのうち、プラスチック廃棄物の焼却に伴う温室効果ガス排出量は約13万6千トンでございます。

●質問

・焼却に伴う温室効果ガス排出量の79%、約8割が廃プラです。温室効果ガスを削減しようと思ったら、廃プラの焼却量をいかに減らすかが、課題だということ。

家庭系のプラスチック廃棄物の排出量とそのうちの焼却量と資源化量、リサイクル率を伺います。

●答弁

本市では、ペットボトル及びプラスチック製容器包装について資源物として分別収集を行い、ストローや歯ブラシ、バケツなど、いわゆる製品プラスチックについては普通ごみとして収集し、焼却しております。

焼却ごみに含まれるプラスチック廃棄物の量を正確に算出することは困難でございますが、仮にごみの組成調査の結果から推計しますと、平成30年度のプラスチック廃棄物の焼却量が約3万9,500トンと算出され、分別収集した資源化量の実績が約1万7,500トンでございますので、排出量は約5万7千トン、リサイクル率は約30%と算出されるところでございます。

●質問

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・家庭系ごみの廃プラの排出量は約5.7万トン、そのうち焼却が4万トン、分別が1.7万トンなのでリサイクル率は約30%だということ。国際的には、ドイツ39%、スペイン37%、イギリス32%と比べて低い水準。

川崎市の一般廃棄物とプラスチック廃棄物の排出削減目標と焼却量の削減目標を伺います。

●答弁

本市では、地球環境にやさしい持続可能なまちの実現をめざして」を基本理念とした「一般廃棄物処理基本計画」を平成28年3月に策定し、計画的にごみの減量化・資源化に取り組んでいるところでございます。

同計画におきましては、一般廃棄物全体として令和7年度までに平成26年度比で、 1人1日あたりのごみ排出量を10%削減、ごみ焼却量を4万トン削減するという、 2つの目標を掲げているところでございます。

また、プラスチック廃棄物の削減目標につきましては、排出量の算定が困難なこともあり、数値的な目標は定めていないところでございます。

●質問

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・本市は、一般廃棄物については2025年度までに、12年度比で4万トン削減ということですから、現在の焼却ごみは家庭系、事業系あわせて36万トン、これを33万トンまで削減するということです。

・しかし、都市首長会議は「一般廃棄物の2030年までに埋め立て・焼却を30%以下に抑える」という目標ですが、本市の一般廃棄物の現時点を基準にした場合、30年までに焼却量36万トンを15万トンにする必要がある。かなり目標に差がありますが、2050年までにCO2排出実質ゼロを目指す本市としては、これぐらいの目標が必要です。焼却ごみの削減目標の見直しを要望します。

プラスチック廃棄物の資源化、減量化のための施策を伺います。(プラを水素ガスに転換する方法?など)

●答弁

本市では、これまで3Rの推進や地球温暖化防止の観点から、ペットボトル・プラスチック製容器包装のりサイクルの推進や、市民・事業者との協働によるレジ袋削減、環境教育・環境学習による意識の醸成などに取り組んできたところでございます。

また、使用済みプラスチックから生成した水素をホテルなどで利活用する「地域循環型水素地産地消モデル」の実証事業が行われるなど、先進的な取組も進められているところでございます。

プラスチックにつきましては、生活に欠かせない素材となっておりますが、一方で、使い捨てプラスチックなどの廃棄物も大量に発生し、散乱による海洋汚染や焼却処理に伴う温室効果ガス排出の要因となっているなど、海洋汚染対策や地球温暖化対策の観点からも、プラスチック廃棄物問題は喫緊の課題と認識しております。

本市といたしましても、こうした課題に総合的かつ迅速に取り組んでいくため、プラスチック廃棄物問題に対する基本的な考え方や対応の方向性などを取りまとめ、国のプラスチック資源循環戦略を基本としながら、自治体として求められる役割や本市の強みなどを踏まえ、海洋汚染対策、地球温暖化対策の観点も含めた総合的な施策について検討してまいりたいと考えております。

本市が行う廃棄物処理事業の温室効果ガス排出量の約8割がプラスチックの焼却に起因するものであり、脱炭素社会の実現においても、プラスチック資源循環の対応は重要な取組でございますので、今後、プラスチック資源循環の取組を推進し、使い捨てプラスチックからの脱却、バイオマス素材への転換などのライフスタイルの変革を促してまいりたいと芳えております。

●要望

・「温室効果ガスの約8割がプラスチック焼却に起因している」、「プラスチック廃棄物問題は喫緊の課題と認識」しているという答弁でした。「プラスチック廃棄物の削減目標は決めていない」ということですが、これだけ温室効果ガスの削減について最大の課題ですので、ぜひ、削減目標を決めるよう要望します。

・臨海部において、廃プラから水素ガスを生成する実証実験が行われていることに、期待をしたいと思います。

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・市の廃棄物のうち、一般廃棄物は51万トンと比較して、産業廃棄物は274万トンと一般廃棄物の5倍以上。これからは、産業系の廃棄物をいかに減らしていくのかが、最大の課題となることを指摘しておきます。

(ゴミそのものを出さない対策)

・従来型のごみを出し放題、燃やせば、埋め立てれば何とかなるという事後処理中心から、プラスチックをはじめ、そもそも「ゴミそのものを作らないという発生源対策の方向に舵を切る」ことこそ、喫緊のごみ問題の解決策です。

・EUでは、使い捨てプラスチック食器や発泡スチロール容器を禁止する新規制を承認し、規則が成立しています。政府も省庁の食堂など国の機関において、ペットボトルや使い捨てコップなどのプラ製品・容器の使用禁止を決めました。

・本市も「今後、使い捨てプラからの脱却、バイオマス素材への転換していくなどのライフスタイルの変革を促していく」ということですので、ぜひ、川崎市でも「ゴミそのものを作らないという発生源対策の方向に」具体的な推進計画を要望します。