むねた裕之
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子どもの貧困―衣・食・住、医療、教育すべてに影響

2月6日、川崎市議会、議員研修会で「子供の貧困の現状と対策」について首都大学東京の阿部彩教授から講義を受けました。貧困の実態の深刻さと行政がやるべきことについて大変参考になりました。

貧困の実態

まず驚いたのは、ひとり親世帯の貧困率の高さです。50.8%と半分以上の世帯が貧困状態。さらに20-24歳の若い層で貧困が急激に広がっています。

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東京都の子供の生活実態調査(2016年)のデータを紹介します。この調査では、生活困窮層、周辺層、一般層に分けて統計を取っています。一般層と困窮層では、明らかな相関関係があります。

公共料金の滞納

「過去1年間に金銭的理由で公共料金が払えなかったことがありますか?」という問いに対して、電気・ガス・水道料金については、一般層が5%前後なのに、困窮層では3割に

食の分野

「食事の回数が3食以下の割合」では、一般層が11.3%なのに、困窮層は22%と2倍。

医療の分野

「虫歯の本数(1本以上)」では、一般層が12%前後なのに、困窮層では25%、4人に一人。

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「子どもの抑うつ傾向」(DSRS-C)では、一般層が20.1%なのに、困窮層は30.9%。

「過去1年間の受診抑制した子供の割合」では、一般層では15%なのに、困窮層では24.8%と4人に一人で、その理由では「自己負担金払えず」が18.8%に。

学力と教育

「授業の理解度(中学2年生)」では、「わからない」「あまりわからない」の割合が一般層では2割なのに、困窮層では5割。

体験の欠如

「体験がない割合」(中学2年生)の「海水浴」では一般層0.2%、困窮層33.7%。「スポーツ観戦・劇場」では一般層0.5%、困窮層37.8%。「遊園地・テーマパーク」では一般層1.0%、困窮層45.1%。困窮層では文化、スポーツ・遊びの分野での体験の欠如が鮮明。

親の状況

「夫婦とも正規雇用でない割合」は二親世帯でも1割強。

「母親が夜勤で働く割合」(小学5年生)は一人親世帯で10%もいる。

「親の抑うつ傾向」で「心的ストレス反応相当」では、一般層が27.9%、困窮層が66.2%と3分の2.

貧困の実態は、深刻であり、衣・食・住、医療、教育などすべての分野に大きな影響を与えていることがわかりました。

阿部先生は、行政の役割として、就学援助、国民年金や国保の減免制度、児童扶養手当、生活保護などの周知徹底、制度へのアクセスのしやすさ、受給要件の精査を強調しました。

そして、なによりも抜本的な対策(川上の対策)としては、日本の実質賃金の賃上げと、格差是正にあると思います。