沖縄視察-子どもの貧困対策やらずして将来はない!
1月22、23日と川崎市議団で沖縄の視察に行きました。23日、沖縄県庁で「沖縄県の子供の貧困対策」について行政からレクチャーを受けましたが、行政と県民が一体になった本気度ときめ細かい支援に驚きました。
沖縄県は、2016年、47都道府県の中で唯一、子どもの貧困率を調査しました。沖縄県の実態は、予想以上に深刻でした。子どもの相対的貧困率は、全国(16.3%)の約2倍の29.9%。子どもの3人に一人が貧困状態にあるのです。「過去1年間に必要な食料を買えないことがあった」子育て世帯が、ひとり親世帯で43%もありました。その背景には、経済的貧困があります。失業率も高く、一人当たりの所得が全国最下位で、全国平均と比べて年収で100万円も低いのです。
そこで県は、翁長知事先頭に2016年「沖縄県子どもの貧困対策計画」を策定。子どもの貧困対策推進基金(30億円)を積み立て、子どもの未来県民会議を設立、子ども未来政策課(職員11人)を設置しました。予算は、内閣府の「沖縄子どもの貧困緊急対策事業」(11億円)、基金(5.4億円)なども含めて17年度は20.1億円です。基金の額から見ても、いかに多くの県民が一丸となって支えようとしているかがわかります。
県は、沖縄子どもの貧困緊急対策事業で市町村に支援員を117人配置し、127か所の居場所を設置しました。居場所は、民間施設、児童館、公民館、学校など様々です。開所日数は、場所によって様々ですが、ほぼ毎日開いているところもあり、そこで、食事の提供、共同の調理、生活指導、学習支援など様々な支援を行い、子どもたちのなくてはならないよりどころとなっています。子どもたちは勉強に打ち込めるようになり、周囲とのコミュニケーションをとれるようになるなど成果が出ています。
就学援助制度を知らせるために、テレビCMを流したり、コンビニにチラシを張るなど、徹底した広報活動をしていました。県民会議が設立した給付型奨学金は、児童養護施設等を退所する人、里親家庭で育った人を対象に、大学・専門学校等の進学にかかる入学金、授業料の全額を奨学金として給付しています。
沖縄県の人口は、ほぼ川崎市と同じです。財政力では、格段に豊かな川崎市が、同じような施策をできないわけがありません。翁長知事は、「子どもの貧困対策をやらずして、沖縄の将来はない」という構えで取り組んでいます。川崎市の将来のためにも沖縄県を参考に、子ども貧困対策を立てるべきです。