川崎市の財政・・政令市トップで33億円のプラス/10年間で1000億円の財源が
10月17日、日本共産党を代表して総括討論を行いました。
財政問題について、以下に紹介します。
(討論内容)
2015年度(平成27年度)決算の各会計決算認定についてです。
財政力は政令市トップで「財政が厳しい」とは言えない
歳入の特徴についてです。2015年度決算では、市税は3年連続増収で初めて3000億円を超え過去最高となり、健全化指標はどれもクリアしており、きわめて健全です。財政力指数も政令市で依然トップで、政令市で唯一の不交付団体となるなど、本市は「財政が厳しい」とはいえない状況となりました。
扶助費は政令市平均以下で不十分
「扶助費が増大」するから財政が厳しいという根拠については、市の負担分である経常収支の比率でみれば19.0%と前年度とほとんど変わりません。一人当たりの扶助費でみれば政令市平均よりも低く、経常収支の5分の1にも満たない額であり、地方自治の本旨である「住民の福祉の増進」という見地から見れば、扶助費は不十分であることを明らかにしました。
収支は33億円プラスで/収支見通しは見直すべき
2015年度決算の収支は、財政調整基金への積み立て、減債基金への返済を含めると33億円のプラスで、市の収支見通しよりも4年前倒しで収支はプラスになりました。2015年度予算の54億円マイナスから見ると87億円も増加しています。2016年度の収支見通しは、国は15年度よりもさらに71億円プラスになると推計しているのに、市は38億円収支が悪くなるとしていますが、この差の根拠については、明確な答弁がありませんでした。また、市の推計は2015年度予算の54億円マイナスをベースにして2016年度の収支を92億円マイナスと試算していますが、2015年度決算で33億円プラスと出たわけですから、私たちはそれをベースに見直しすべきとただしました。それに対して「今後の収支見通しにつきましては、予算編成等、適切な機会をとらえて、適宜作成」するという答弁でしたので、その推移を注視していきたいと思います。
減債基金(貯金)は政令市平均の約2倍
減債基金については、その残高は、人口が川崎市の2.6倍もある横浜市の2倍近くもあり、一人当たりの市債残高は他の政令市平均よりも低いのに、一人当たりの減債基金残高は他の政令市平均の1.8倍にもなっており、突出して高いことが明らかになりました。しかも、減債基金残高は、10年後には一般会計分だけでも2887億円になり、2015年度末の1847億円より1000億円も積み増しされます。
減債基金の上積み分を社会保障に回せば10年間で1000億円の財源が
「減債基金へは、取り崩し分だけ積み立て、上積み分を社会保障に充てるべき」との質問に対して「将来の償還財源に不足をきたす」という答弁でしたが、将来の取崩額の推移をみても大きな取崩額の予定はありません。「ルール通りに積み立てなければ」との答弁でしたが、財政局の資料で他都市を見てもルール通り積み立てているところは少ないのが現状です。「将来世代に安心して暮らし続けていくため」という答弁もありましたが、上積み分を貯金として持っているのではなく、いま川崎市で暮らす市民の社会保障、子育て支援などにあてるべきで、そうしてこそ、少子化に歯止めをかけ、将来世代への負担を減らすことにつながるのではないでしょうか。減債基金への積立金は取り崩し分だけにすることで、毎年100億円、10年間で1000億円もの財源が生まれます。この財源を社会保障に充て、暮らし、福祉の充実をはかるべきです。
「財政が厳しい」から行革という根拠はなくなった
「財政が厳しい」ということを理由に行財政改革を進め、福祉電話相談事業、高齢者外出支援サービス事業、高齢者住み替え家賃助成事業の見直しや廃止を断行。利用者がいるのにもかかわらず、削減効果額わずか300万円のこれらの事業を見直し・廃止したことは重大です。行革の根拠については、今年3月の「行財政改革プログラム」では「収支不足」「減債基金」「財政が厳しい」という文言は消え、「財政が厳しい」ことを行財政改革の根拠にすることはできなくなりました。
重度障害者医療費助成制度、敬老パスなどのサービスの拡充を
残った行革の根拠は「社会的ニーズの変化」ですが、サマーレビューで見直しの対象になっている「重度障害者医療費助成制度」「高齢者外出支援事業」「成人ぜん息患者医療費助成制度」の3つの事業はどれも社会的ニーズが高まっています。このような社会的ニーズが高まっている事業、または利用者にとってなくてはならない事業については、サービスの削減ではなく、拡充する方向で見直すべきです。