川崎市の教科書採択の教育委員会会議を傍聴
17日に川崎市の教科書採択のための教育委員会会議が行われ、傍聴しました。
180人の傍聴席に250人以上がつめかけ、会議室では入りきれず、ロビーまで人があふれていました。
採択の前の展示会をとおして、1605件もの意見が寄せられました。
中学の歴史、公民の教科書には、教育委員5人と教育長の6人全員が、教育出版社版を選択し、育鵬社版は選ばれませんでした。
一番感じたのは、現場の先生たちの意見が、教育委員の審議のところでは、ほとんど紹介されなかったことです。
採択するために、
各学校の校内検討委員会
採択地区ごとの調査研究報告
調査研究会
市の選定審議会
教育委員会
という手順ですが、4年前の前回は、採択地区ごとの調査研究報告があったのです。
そこには、今回も現場の先生たちの生の声が、たくさん載っています。
しかし、その上の調査研究会の報告、審議会の報告、そしてこの教育委員会の討議の中には、ぜんぜん反映や紹介がされないのです。
特に、現場の先生たちからの報告では、育鵬社版の教科書への批判がかなりありました。
育鵬社版の中学・歴史教科書では、
「太平洋戦争を「欧米からのアジア開放」と位置づけている」
「アジア諸国への加害状況がほとんど記述されていない」
「内容に偏りがある」
「太平洋戦争が「正しい戦争」と受け取れる表現がある」
育鵬社版の中学・公民教科書では、
「平和主義について疑問が残る」
「帝国憲法のほうが現行憲法よりも記述が多い。必要ないのではないか?」
「有事、防衛のページが約4ページあり、重点を置いている」
「憲法の大枠を法で乗り越えていくことをよしとする表現に感じられる」
「国家について「君が代は・・・」やはり天皇の時代という解釈が根強いのでは?」
などの意見が出ていましたが、上の研究会、審議会、教育委員会では、ほとんど紹介も報告もありませんでした。
かなり、教育委員の個人的な意見で決められるという印象でした。
教育委員の中には、「数学は大嫌い」「英語はぜんぜんわからない」などという方もいました。
現場で教えていて苦労もしている教育のプロである先生たちの意見が反映されず、
数人の教育のプロではない方も含まれている教育委員に、4年間の川崎市全体の中学校の教科書が決められることに、危うさを感じました。
本来は、学校ごとや現場の先生たちが決めたりするのが、一番いいと思います。
また、そうでなければ、教育委員も任命制ではなく、公選制にしたほうが良いと思いました。