むねた裕之
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川崎市―蟹ヶ谷の旧動物愛護センター跡地は民間に売却せず、市民のために利用を

12月17日、川崎市議会12月議会で日本共産党・むねた議員は「高津区蟹ヶ谷の旧動物愛護センター跡地利用について」取り上げました。

町内自治会などから、市民のために使わせてほしいという要望が出ている跡地です。むねた議員は、川崎市に対して周辺住民の声をよく聞き、すぐに民間に売却せずに、広場、避難場所など市民のために利用することを要望しました。

【質問】

旧動物愛護センターの跡地利用について、現在、どのような計画になっているのか、伺います。

【答弁】

当該用地につきましては、平成31年2月の中原区上平間への施設移転に伴う用途廃止を踏まえ、普通財産への変更手続きを行ったうえで、本年4月に建物の解体工事を完了し、現在、更地の状態で管理を行っております。

今後につきましては、総務企画局危機管理室が所管する「防災行政無線屋外受信設備」の移設設置先等の部分を除き、一般競争入札による売却が計画されております。

【質問】

・現在は、跡地は更地になっており民間に売却する計画ということです。

どのような経過で民間に売却することにしたのか、伺います。

【答弁】

跡地活用につきましては、局内において、他事業での活用の可能性について検討いたしましたが、敷地面積や立地条件等から活用には至らず、その後、平成31年2月に実施の財政局による全庁調査につなげたものでございます。

調査の結果につきましては、総務企画局危機管理室が所管する「防災行政無線屋外受信設備」の継続設置以外に活用希望が無かったことを受けまして、令和元年10月の公有地総合調整会議において、一般競争入札による売却方針を決定したものでございます。

【質問】

・答弁では、まず局内で活用希望がなく、全庁の調査でも活用希望がなかったため、民間への売却方針が決まったということです。しかし、本当に市民からの活用希望、要望がなかったのでしょうか。

自治会からの要望について

・蟹ヶ谷自治会の方が市に「旧動物愛護センターの跡地はどうなっているのか」と聞いたところ、「もう、民間へ売却することが決まっている」と言われ、「要望を聞いてもらう機会がほとんどなかった」と伺っていますが、

蟹ヶ谷自治会の意見は聞いたのか、伺います。どのような要望が出ていたのか、伺います。

【答弁】

蟹ケ谷自治会に対しましては、平成30年12月に、中原区上平間への動物愛護センターの移転、並びに、移転後の施設解体等についてご説明を行ってきたところでございまして、自治会からは、当該敷地内に設置されている地域のごみ集積所について、施設移転後においても、継続利用ができるよう配慮して欲しいといった御意見をいただいたところでございます。

【質問】

・答弁では、蟹ヶ谷自治会からは「ごみ集積所の継続利用」のみの要望だったということですが、私が自治会に伺ったところ、全く違う意見でした。

・蟹ヶ谷自治会は、避難場所である子母口小学校や橘公園へ行くには川を渡らなければならず、近くに避難場所となる広場もありません。自治会自身の備蓄倉庫はなく、いろいろな施設の一部を借りるなどして備蓄物資が分散してしまっています。自治会の方からは「市民の土地なのだから市民のために使ってほしい。なぜ、民間に売却するのか」という意見が出ていました。

自治会のこれらの要望は、跡地利用に際して、どのように反映するのか、伺います。

【答弁】

全庁調査の結果とこれまでの地元からの直接の御要望を踏まえ、ごみ集積所の前面につきましては、狭艦な道路に接しており、当該敷地以外に散乱防止用ダストボックスを設置するためのスペース確保が困難な状況にあることから、「防災行政無線屋外受信設備」の移設設置と同様に、ごみ集積所の設置スペースも確保することとし、用地売却後におきましても、引き続き、地元の方々が利用できるごみ集積所として配慮してまいりたいと存じます。

また、一般競争入札の実施にあたりましては、備蓄倉庫や避難場所等に関して、関係局区に情報伝達を行うなど、丁寧に進めてまいりたいと存じます。

【質問】

・自治会から出ている避難場所、備蓄倉庫のスペースも、ぜひ、確保できるように要望します。

公有地総合調整会議について

・跡地利用について「公有地総合調整会議において、どこの局からも手が上がらなかったため、民間に売却することになった」と伺っています。しかし、全市的には特養ホームや認可保育園、公園、緑地など、政令市の中でも特に不足していますが、その増やせない最大の理由は、「土地の確保ができない」という答弁です。「土地がない」と言いながら、市の土地があっても民間に売却するということはどういうことでしょうか。

認可保育園についてです。4月1日時点で、希望する認可保育園に入園できなかった保留児童数は2400人を超えています。しかも、この地域は、待機児童数が特に多い中原区と高津区の中間地点にあります。認可保育園が明らかに不足している地域なのに、なぜ、手を挙げなかったのか、伺います。

【答弁】

待機児童対策における保育所整備においては、主たる手法である民間事業者活用型保育所整備の募集にあたり、地域の保育所利用ニーズを踏まえ、鉄道最寄り駅を中心に概ね1から1.5キロメートル圏内を整備指定地域に設定しておりますので、当該用地については、希望しなかったものでございます。

【質問】

・「鉄道駅から1.5キロ圏内」に入っていないから、希望しなかったという答弁です。しかし、駅周辺はただでさえ土地の確保が難しく、この方針でどうやって2400人の待機児童を解消することができるのでしょうか。自宅近くの保育園をできるだけ増やすことこそ、市民ニーズです。この方針では、待機児童の解消も市民ニーズにも応えることはできません。

公園、広場についてです。都市公園の人口当たりの面積は、川崎市は政令市の中でワースト2位と、政令市の中でも最も公園や緑が少ない都市の一つです。また、自治会からも指摘されているようにこの地域には災害の際の広場がほとんどありません。これだけ、公園、広場が求められているのに、なぜ、手を挙げなかったのか、伺います。

【答弁】

街区公園の整備にあたっては、本市「緑の基本計画」に基づき、小学校区を構成する町丁目の3分の2以上に公園を配置するよう努めているところでございます。

動物愛護センター跡地は、子母口小学校区内にあり、当該校区は、この配置の考え方を満たし、街区公園を優先的に整備する地区に当たらないため、公園用地の対象としなかったものでございます。

【質問】

・「街区公園としては満たしている」からという答弁でした。街区公園としては満たしていても、実際、避難場所となる公園も川を超えていかなければならず、自治会の備蓄倉庫の置き場所もないなど防災・避難場所としては、まったく足りていません。

どこも手が上がらなかったからと言って、どうして市民の土地を簡単に民間に売却するのか?「土地の確保が難しい」と言いながらどうして簡単に市民の土地を売却するのか、伺います。

【答弁】

当該用地の活用方針の検討にあたりましては、周辺の中長期的な行政ニーズを含め、全庁的な市有地利用調査を実施し、危機管理室所管の「防災行政無線屋外受信設備」の継続設置以外の利用意向が無いことを確認したところでございまして、低未利用地どなった場合の用地管理の課題、売却による財政効果等を総合的に勘案し、公有地総合調整会議において、一般競争入札による売却方針を決定したものでございます。

【意見・要望】

・川崎市は、特養ホーム、保育園、公園、広場、避難場所などこれだけ市民からの要望も出ているのに、市の局からは、どこからも活用希望が上がらなかったこと自体問題です。さらに手が上がらなかったからと言って、すぐに民間に売却してしまうということは、あまりにも拙速です。

・高津区の久末地域の久末配水塔跡地は、「利用を希望する局はない」ということで、駐車場に貸与する計画が進んでいました。しかし、周辺住民や町会から「民間に貸し出すと市民が使えなくなる」「更地で残して防災のための公園を」などの声が出て、現在、町会の防災格納庫ができており、跡地の管理は町会が行っています。このような利用方法も可能ではないでしょうか。

・「どの局からも活用希望が出ていない」跡地も、市民の土地ですから、市民のために使えるようにすべきです。こういう低未利用地については、民間に売却せずに周辺住民や町会、自治会の要望をしっかり聞いて、市民や子どもたちが使えるようにすべきことを強く要望します。