むねた裕之
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90年代以降の臨海部への巨額投資は雇用増、税収増につながらず

12月4日、川崎市議会・12月議会で日本共産党は、石川建二議員が代表質問を行い、「臨海部への投資について」を取り上げましたので、以下に紹介します。

●質問(石川)

臨海部への投資についてです。

臨海部への巨額の投資は雇用増、税収増につながったのか?

これまでにも、川崎市は、雇用や税収を増やすためといって臨海部には巨額の投資をしてきました。90年代以降、高速川崎縦貫道路の整備に総額6293億円、川崎港コンテナターミナルに400億円、水江町先端産業誘致土地購入に237億円、殿町「国際戦略拠点」整備に70億円、千鳥町再整備に40億円など、30年間で大規模開発に巨額の予算をつぎ込んできました。この90年代以降の市の臨海部への投資は、はたして市の雇用増や税収増につながったのかどうか伺っていきます。

9年間で事業所数の1/3が減少、従業員数も大幅減少

 まず、市内製造業の事業所数と従業員数の推移についてです。2008年から2017年の直近9年間で、市内製造業の事業所数は、622事業所、35%減、従業員数は9983人、18%減。臨海部のある川崎区でも、事業所数で172事業所、32%減、従業員数では845人も減っています。特に事業所数では全市も川崎区も3分の1減少するというすさまじい減り方をしています。

法人市民税も23%減少し、構成比は6.9%で政令市最低レベル

 市税の中の法人市民税と個人市民税の税額と構成比についてです。2008年から2017年の直近9年間では、個人市民税は71億円増、税収の中の構成比では、個人市民税は税収の4割を占めています。一方、法人市民税は、64億円減、23%減少し、税収の中の構成比は、9.5%から6.9%と大幅に減らしています。特に法人市民税の構成比は、他の政令市は10%ですが、川崎市は6.9%と極端に低く、政令市では下から2番目です。川崎市は「全国でも屈指の工業都市」と言われますが、法人市民税の割合は、全国よりもずっと低いのが実態です。

90年代以降の巨額投資は雇用増、税収増にはつながらず

このように、90年代以降の臨海部への巨額の投資は、25年以上たって雇用や税収の推移をみても、市の雇用増や税収増にはつながっていないことは明らかではないですか、伺います。

◎答弁(臨海部国際戦略本部長)

川崎臨海部は、製造業を中心に多くの企業が立地、操業し、我が国の経済成長を支える拠点であり、工業統計調査によりますと、臨海部が大きな割合を占める本市製造品出荷額は、平成29年において4兆929億円、従業員1人当たりでは8,758万円と、政令市第1位であり、最も高い生産力を有する拠点としての地位を得ております。また、ものづくり機能に加え、研究開発機能の集積も進み、我が国全体のものづくり産業の競争力強化にも貢献しているところでございます。さらに、こうした産業は、様々な関連産業分野と結びつき、裾野の広い産業構造を有しており、経済波及や雇用などの面で多くの効果を生み出しているものと考えております。

また、立地企業は、ものづくり機能強化に向けた投資活動を継続的に行っており、これにより、平成30年度の川崎臨海部における、法人に対する固定資産税は279億円、全市に占める割合は43%で、このうち償却資産分は118億円、53%であるなど、本市税収にも大きく貢献しているところでございます。

●意見(石川)

臨海部への投資についてです。

臨海部の不要不急の大規模事業は中止を

「90年代以降の臨海部への巨額の投資が、市の雇用増や税収増にはつながったのか」という質問に対して、製造品出荷額、固定資産税の額をあげて「本市税収に大きく貢献している」という答弁でした。しかし、実際は事業所数、従業員数、法人市民税すべて減少しているのです。結局、90年代以降、川崎市は臨海部に7000億円以上もの巨額の投資をかけましたが、それに見合う効果、雇用増や税収増にはつながらなかったことが明らかになりました。税源培養といいながら、今でも続けられている臨海部の不要不急の大規模事業については、強く中止をすることを要望します。