沖縄の辺野古新基地建設について
安倍政権は、沖縄県名護市辺野古の新基地建設を強行しようとしています。しかし、辺野古新基地は普天間基地の「移転」という生易しいものではありません。1800mの滑走路を2本持ち、強襲揚陸艦も接岸できる軍港を持ち、耐用年数200年の最新鋭の巨大基地が作られようとしています。キャンプシュワブやキャンプハンセンと一体で運用され、基地機能は飛躍的に強化されます。いま沖縄で起こっているのは、「基地負担軽減」とは正反対のことです。東村高江のオスプレイ着陸帯建設、伊江島飛行場でF35戦闘機着陸帯建設などと合わせ、沖縄の海兵隊基地を「戦略的出撃拠点」として抜本的に強化・固定化しようとしています。
辺野古新基地建設の埋立予定海域にある断層が、今後も動く恐れの高い活断層であることが判明し、国の公有水面立法に基づく審査基準に適合せず、翁長県知事が埋立承認の撤回を決断しました。また、辺野古・大浦湾のボーリング調査の結果、軟弱地盤が深さ約40m続いているというデータが出てきて、大掛かりな地盤改良と設計そのものを変更しなければならない事態になりました。さらに新基地建設は、この海域のジュゴンやサンゴ礁など貴重な生物の環境を破壊することにもつながります。県は、辺野古埋立の承認を8月31日に撤回し、これにより土砂投入などの移設工事はストップしました。このように新基地建設の破綻が次々と明らかになってきています。
今年4月に朝鮮半島で南北首脳会談が行われ、「朝鮮半島の完全な非核化」と「年内の朝鮮戦争の終結」をうたった「パンムンジョム宣言」が出され、6月の米朝首脳会談では朝鮮半島の平和体制の構築と完全な非核化で合意するなど、朝鮮半島での平和の激動が起こっています。沖縄をはじめ全国の米軍基地は、この朝鮮戦争を機に全土基地方式が取り入れられ、「朝鮮有事のため」という理由で作られてきましたが、朝鮮戦争が終結すれば、沖縄の米軍基地の存在理由そのものがなくなりますし、新基地建設などは論外です。
沖縄では、過去の名護市長選、県知事選、総選挙、参議院選挙と繰り返し新基地建設反対の圧倒的な審判が下されています。2013年に県内の全市町村長や議会議長が署名をして安倍内閣に提出された「建白書」は、オスプレイの配備撤回、米軍普天間基地の閉鎖・撤去、県内移設の断念を求めたものです。ここには、保守や革新を超えた県民の切実な思いが結実しています。「建白書」にもとづき新基地建設阻止へ不退転の姿勢で臨んできた翁長県政は、安倍政権を追い詰め、今年6月で完成するはずだった工事は遅延し、8月17日に予定していた土砂投入も延期せざるを得なくなっています。
以上述べてきたように新基地建設は、米軍の出撃拠点つくりであり、活断層や軟弱地盤も無視をし、何よりも沖縄県民の声を無視して工事を強行する日本政府は、許されるべきではありません。