安倍政権の「働き方改革」の危険性
5月15日、日本共産党市議団は、エポックなかはらにて「安倍政権の「働き方改革」の危険性」についての講演会を開催しました。
講師は、国会で裁量労働制のデータねつ造を暴いた上西充子教授(法政大学キャリアデザイン学部)です。この法案の危険性が、大変よくわかる講演でしたので、以下の大要を紹介します。
働き方改革関連法案は「毒まんじゅう」
この法案は、いくつもの法律を抱き合わせにした一括法案で、一見よさそうな皮のなかに、毒のあんこが仕込んであるというもの。労働基準法の改定には、過労死の上限時間をも認める時間外労働の上限規制が入り、高度プロフェッショナル制度(「高プロ」)も入っています。
「働き方改革」の全体像
働き方改革実行計画では、「多様な働き方が可能」となるように3つの働き方が示されています。
① ガンガン働く人用
ここには、高プロや裁量労働制の拡大など、労働時間等の規制がほとんどない働き方。ようするに残業代もつかず、無制限に働かせるような規制緩和をします。
② 一般的な働き方
時間外労働の上限規制や「同一労働・同一賃金」など規制を強化していきます。
③ 雇用関係によらない働き方
ここは、フリーランスや自営業など労働法によらない働き方で、労働者を守るべき法律の範囲外の世界。会社からすれば、今までの仕事をどんどん外部に委託して従業員を抱えないで済むような形態。
安倍政権は、②の従来の労働法制で守られてきた労働者をどんどん減らし、①と③を拡大し、過労死するほど働くか、労働者を守る法律がない世界で働くかを二者選択するような方向を目指しています。
「高プロ」は「異次元の危険性」
「高プロ」は労働時間等の規制をほとんど外され、今まで労働者を守ってきた規定である、労働時間、休日、割増賃金、休憩などが適用除外となります。これを適用する年収の要件は1075万円以上です。これが通れば、経営者は、1075万円払えば、休憩なしの24時間勤務を連日にわたって働かせることが可能になります。「残業代ゼロ」でしかも過労死をするような時間を押し付けることが違法ではなくなるなど「異次元の危険性」があります。しかも、年収要件は、経団連は400万円を提言しているなど、どんどん下げられることが予想されます。
「高プロ」という毒は途中で仕込まれた
2016年8月に、安倍内閣は「働き方改革」として「長時間労働を是正」「同一労働同一賃金」をかかげるなど、まんじゅうの皮の部分を宣伝。ところが、2017年3月に「働き方改革実行計画」に、9月には一括法案に「高プロ」は説明も議論もなしに挿入された(2015年に法案として提出しているためという理由)。毒のあんこをそっと混入した。9月の解散時にも安倍首相は、働き方改革を語らず。しかし、選挙勝利後、翌年2018年1月に「働き方改革」国会にすると宣言。
このように、安倍政権が狙う「働き方改革」は、過労死するような働かせ方か、労働者を守るべき法律の聞かない働き方を広げるためであり、そのなかでも「高プロ」法案は「異次元の危険性」を持っています。来週の国会での採択は絶対に許してはなりません。