12月議会・代表質問ー総合計画の「人口減少」は実態に合わない
12月7日、日本共産党を代表して、私、宗田裕之が2017年第4回定例会に提案された諸議案、並びに市政一般について質問を行いました。
総合計画についての質疑を紹介します。
質問
川崎市総合計画について、市長に伺います。
2018年度から4年間を計画期間とする第2期実施計画素案が出されました。約500ページにも及ぶ膨大な計画ですが、きちんと市民の実態を把握し、現実の課題を取り上げ、市民の切実な要求にこたえたものになっているのでしょうか。
総論で「少子高齢化のさらなる進展、人口減少への転換、生産年齢人口の減少」を第一の課題に挙げていますが、日本の人口減少問題が川崎市の実態に当てはまるのでしょうか。川崎市の新たな人口推計は、前回の推計と比較するとピーク時の人口が6.5万人増加し、年少人口ピークは、2015年から2030年と15年も伸びました。本市は政令市の中で人口増加率が最も高く、生産年齢人口の比率は最も高く、老年人口比率は最も低く、平均年齢で最も若い都市です。人口は、これから13年間、増え続け、今より人口が減少するのは33年後です。
少子高齢化といいますが、それらの対策はしっかり取られているのでしょうか。川崎市の実態は、例えば、2017年4月時点でみると認可保育園の入所保留数は政令市でワースト2位、小児医療費助成制度の通院対象や所得制限についても政令市で「最低水準」です。高齢者の問題では、特養ホームの待機率は人口100万人以上の政令市でワースト1位。市民アンケートで一番要望の多かった介護保険料の問題では保険料月額は県内で4番目に高く、さらに値上げが予定されるなど高齢者施策は遅れたままとなっています。
雇用の問題では、川崎市では非正規雇用が増大し、正規雇用にどう転換していくかが大きな課題ですが、計画には、その対応策がありません。中小企業の分野では、従業者数は減少し、倒産・廃業は増加の一途ですが、それをくいとめる具体的施策はほとんどありません。市長が重点公約に掲げている防災についても、川崎市の防災対策の遅れは深刻です。消防職員は国基準の必要数に対して150人も不足し、救急車は5万人に1台必要という国の配置基準に対して人口30万人分に匹敵する6台も不足しています。避難者想定は36万人なのに避難所となる学校体育館の収容可能は9万人分しかなく、住宅耐震化の必要数8900戸としながら耐震改修助成は全体改修で年間102件分と、とても追いついていないのが現状です。ところが計画では、施策1の課題のトップに「市民の自助・共助・互助に関わる防災意識が低下傾向にあることから」市民意識の高揚を図ることの必要性を挙げ、施策2では「自助・共助・互助による地域防災力の向上」を挙げるなど、防災対策の主体が市民にあるかのように書かれています。このように防災については深刻な実態や公的な防災対策の遅れがあるのに、公的責任を後景に追いやる計画になっています。人口減少といった30年後の心配をする前に、現在直面している人口増や需要増による課題に対応することが先決だと考えますが、市長に伺います。
答弁
第2期実施計画につきましては、10年後、30年後の本市のめざすべき都市像に向けて、市民の皆様を取り巻く社会環境や都市環境の変化の分析を踏まえながら、今後4年間の具体的な取組を定めるものでございます。 本市の人口は、当面は増加が続くものの、平成42年 以降、人口減少に転換することを想定しておりますことから、直面する課題に対応しながら、将来を俯瞰した責任ある市政運営を進めることが不可欠であると考えております。重要な施策である子育てや高齢者施策、雇用や中小企業支援などにつきましては、今後4年間の各施策の取組 や今後10年間を見通した「かわさき10年戦略」などに位置づけた中長期かつ分野横断的な視点を持った戦略などに基づき、効果的な取組を進めていくものでございます。 また、防災対策につきましては、公助の取組だけではなく、日ごろからの自助、共助による地域力を高めていくことが重要でありますことから、発災時を想定した危機管理体制の強化や救急隊の増隊とともに、市民が「自らの命を自ら守る」ための平常時の備えと地域社会での支えあいを支援するなど、自助・共 助・互助・公助の、バランスの取れた取組を進めていくものでございます。いずれにいたしましても、当面の人口増加に伴う需要への対応と将来的に訪れる人口減少の局面を見据えながら、未来へ責任をもった市政運営を進めてまいります。