むねた裕之
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特別市:指定都市と各県知事の主張が真っ向から対立

6月11日、日本共産党の代表質問が行われ「特別市」について質疑を行いましたので紹介します。また、特別市を推進する意見書についての反対討論も紹介します。

●質問

特別市についてです。

4月、5月に神奈川県内の3政令市を除く30市町村が「特別市」の法制化に反対する要望書を県に提出しました。これを受け、5月13日に黒岩県知事が記者会見を行い、一方、県内3政令市長も緊急声明を発表しました。また、18日に指定都市市長会の「多様な大都市制度実現プロジェクト」が開催され、国の「地方制度調査会への対応状況」が話し合われています。

市長は、市議会での特別市の質疑の中で、様々な課題について「国が検討する」と述べることが多々ありました。そこで今回、国の地方制度調査会の資料を見てみましたが、そこには具体的な対策や回答は、ほとんどありませんでした。

 例えば県の総合調整機能について、黒岩知事は「医療費補助、河川改修、がけ地対策など県全域の行政機能が維持できなくなる」「警察組織をどうするのか」と指摘しています。これに対し調査会は「警察本部設置は非効率」「組織分割の懸念」「医療資源の偏在で一体的な医療提供体制は困難」など、問題点の列挙にとどまり、解決策は示されていません。

財政面でも、黒岩知事は「特別市が認められれば、特別市以外は壊滅的」と述べ、県の報告書でも「県の財源不足は約680億円」と試算しています。しかし、調査会資料には、県の財源がどれだけ失われるのかの試算もなく、その補填策もなく、もちろん財源の提示もありません。県有施設の移譲・移管、費用負担についても同様です。川崎市内だけでも県有施設は134施設、財産価格1622億円に上ります。移管費用や債務引受額は相当な規模になるはずですが、調査会資料は「県民利用施設の4割が指定都市に立地」「移転・移譲などの選択肢がある」と述べるのみで、費用負担の主体も金額も一切示されていません。このように国の地方制度調査会の対応では、県や他市町村の疑問にとても答えるような内容になっていません。これでは、とても特別市が実現可能とは思えないのですが、市長に伺います。

◎答弁

先月に第34次地方制度調査会の第2回総会が開催され、これまでの専門小委員会での議論を踏まえ、「特別市の制度化を検討する場合の論点」などの今後の審議項目が正式に決定されたところでございます。

今後、その審議項目に基づき、同調査会において、特別市制度の各論点に関する具体的な調査審議が行われていくものと考えております。

●意見

特別市についてです。

「国の地方制度調査会の対応では、とても特別市が実現可能とは思えない」という質問に対して「具体化はこれから」というような答弁でしたが、今の調査会の状況では、とても具体化できる状況ではありません。

第34次地方制度調査会・第4回専門小委員会では、神戸市長と熊本県知事が招かれて質疑を行いましたが、両者の主張が真っ向から衝突するなど深刻な亀裂が浮き彫りになりました。熊本県知事は全国知事会からの懸念も紹介して、「強く反対だ」と述べています。神奈川県だけではなく、熊本県、全国知事会からも懸念、反対がある状況であり、しかもその弊害、課題、市民の負担は計り知れません。市税、職員を使ってのこれ以上の推進はやめるよう求めます。

(意見書への反対討論)

私は意見書案第8号「特別市制度に関する県民の適切な理解及び建設的な議論の推進を求める意見書」について反対の討論を行います。

 代表質問でも述べたように、わが党は特別市を推進することについては反対の立場です。意見書案では、県や他市町村から指摘されている様々な問題は、「地方制度調査会において、特別市制度を含む大都市地域の行政体制の在り方について検討が進められている」と述べています。しかし、この間の調査会の審議では意見が真っ向から対立し、解決のめどが立たない状況です。

 4月15日の第34次地方制度調査会・第4回専門小委員会では神戸市長と熊本県知事の主張が真っ向から対立するなど深刻な亀裂が浮き彫りになりました。質疑では、神戸市長は、二重行政の弊害を指摘し、特別市への移行が必要だと主張。それに対して熊本県知事は、「二重行政などの特筆すべき課題はない」「現行の指定都市制度は十分機能している」と述べ、逆に特別市が実現した場合、広域調整を分断し混乱を招くとして「事実上の都道府県の分割」だと指摘。特別市が県税を取り込めば、県財源が不足して市町村支援が難しくなると批判し、「特別市の制度化は必要性は感じられない」と述べました。

また、全国知事会での検討状況について「都市部と非都市部の格差が拡大する」「県税収入が大幅に減少し、県単独の事業、特に市町村に対する補助事業の実施が困難になる」「県有施設は、移転、移管または廃止を検討しなければならず、その費用はどちらが負担するにしても莫大なものとなる」などとして「特別市制度について多くの課題や懸念が示された」ことを紹介し、熊本県知事は「強く反対」を主張しました。

 これを受けた第5回専門小委員会や第2回総会でも「都市部への集中」「他市町村との連携問題」「財政面の問題」「警察機能と医療提供体制の問題」など多くの問題点、懸念が出されました。これに対する調査会の検討状況ですが、財政面の影響については、財政指標の表だけが示されていますが、政令市の独立により県の財源がどれだけ失われるのかの試算もなく、その補填策もなく、もちろん財源の提示もありません。県有施設について、「神奈川県では、指定都市の区域に県民利用施設の約4割が立地している」として、県内の施設数を示し、移転、移譲などの選択肢が考えられると述べているだけです。肝心の費用については、誰が負担するのか、どのくらいかかるのかなど一切、記載がありません。

 今後、調査会において、神奈川県や熊本県のように各地で財政分析や詳細な検討が進めば、ますます問題は深刻化すると予想されます。例えば、財政面のなどの影響についても、神奈川県のように680億円もの財政不足が生じること、各県庁所在地の指定都市が独立した場合、県庁、県議会、警察本部などの県有施設の移転、移管、移譲について誰が費用負担をするのか、県行政・議会機能をどうするのか、広域行政である警察機能をどうするのか、など次々と深刻で解決が難しい問題が明らかになってきます。この議論は進めば進むほど、ますます道府県と指定都市との分断は激しくなるでしょう。

 わが党は、特別市を推進することに対しては、警察・医療提供体制など県の総合調整機能に支障をきたすこと、県の巨額の財政不足など財政面での大きな影響が出て、行政サービスが困難になること、県有施設の移転、移管、移譲など県民、市民に大きな費用負担と様々な問題を生じさせること、大都市への一極集中がすすみ他市町村との格差が拡大し分断が生じかねないことなどの理由から反対しています。よって「特別市制度の推進を求める」この意見書には賛同できません。